PS2「ICO」の思い出。僕の魂ごと心を掴まれてしまった至高の作品。繋いだ手を離さないでよ。

PS2

その瞬間、体中に電流が走ったようなゲームがあります。
今も心に残る至高の1本。
今日、12月6日は、そんなゲームが発売された日です。

どーも、たけGです。

●「ICO」との出会い

この人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから。

なんですか、これ!
ゲームのキャッチコピーですよ!
っていうかゲームに限らず、僕はこれ以上のキャッチコピーを知りません。
2001年12月6日にプレイステーション2で発売されたのが、この鮮烈なキャッチコピーを提げた「ICO」というゲームでした。

いや、このパッケージもいいね!
最高ですよホント、芸術品と言ってもいい。

しかし今年で発売されてからもう24年になるのか…
PS2をレトロゲームだなんて風潮にちょっとした反発感を覚えていたものですが、20年以上も経てばそりゃレトロゲーム扱いになるわな。
ファミコンなんて発売後10年ぐらいでレトロゲーム機だなんて言われてたような気もするし。

この「ICO」というソフト、僕個人的にですが発売前はそんなに注目してなかったことを覚えています。
雑誌で掲載されていても流し見していた程度で、そんなに惹かれなかったような記憶が。
だって静止画では暗い画風のおかげ(?)で、ページを止めてまじまじと見るもんでもなかったですしね。

わかっていればグッとくる画像なんですけどね、予備知識ゼロの時点では全然惹かれなかったのですよ。
「グランツーリスモ3」や「ファイナルファンタジーX」遊びたさに購入したPS2。
新規作品の「デビルメイクライ」は遊んでいたけど、これは「バイオハザード」のバックボーンがあったから。
同時期に発売されるPS2ソフトとしては「メタルギアソリッド2」の方に注目してたかと思います。
SCE(現SIE)発売のソフトとはいえ、バックボーンのない全くの新規タイトルであった「ICO」、最初の時点では全然惹かれていなかったのも致し方ないでしょう。

とは言え、先に書いたようにパッケージが非常に美しく僕好みなので、ここでスルーしていたとしても、いずれは中古ソフトなどでジャケ買いしていたかもしれませんが。
そんな僕が、当初は見向きもしていなかったこのソフトを発売日近く(当日ではなかったな)に新品で購入したのは何故なのか。
それは当時のゲームショップで販促用のデモ映像を目に、いやいや耳にしたからなのです。
まず音楽が耳に入ってきて僕の聴覚を鷲掴みにし、そのまま僕の目をモニターへと誘っていきました。

これはPS3版のプロモなので、あの時僕が耳にし、目にしたPS2版のデモ映像とは内容が違います。
こちらのPVではナレーションとともに、バックでテーマソングの「You Were There」が流れていますが、当時の僕の耳に入ってきたのは、切なく、そして物悲しいギターの旋律で奏でられる「Castle in the Mist」だったような記憶があるんですよねぇ。

こちらですね。
この曲をバックにゲームの映像がただ流れるだけのプロモ映像だったと思います。
ナレーションやゲームの説明などはその映像では流れずただただゲーム画面が流れていて、最後に前述のキャッチコピーが流れてタイトルと発売日等が表示される、そんな感じじゃなかったかな。
記憶が定かでなく、YouTubeを検索してもそれっぽい映像を発見できなかったので間違っているのかもしれませんが、ともあれ、この販促用の映像で心を鷲掴みにされてしまったんですよね。
あ、このゲーム買ってしまおう、と即決してしまいました。

音楽も良かったのはもちろんなのですが、その映像で流れていた霧の城の風景や手を繋いで走る少年と少女の映像がもうクリティカルでした。
雑誌の情報はちゃんと見ていなかったのもあったのですが、映像で初めてまともに見たゲーム画面に釘付け。
これはもう、廃墟好きな僕にはたまらんグラフィックじゃないですか!

廃墟は好きで写真集やYouTubeで眺めるのは好きだけども、生来のビビりなもんで実際に歩いて回るのはちょっと怖い。
そんな僕でもゲームの中なら自由に走り回れるじゃないか!これはこの城の中を走り回りたい!と思わせる映像でしたね。

「FF X」や「GT3」でPS2の美麗なグラフィックは堪能してきましたが、「ICO」を見て初めて、こんな映像でゲームを遊べるなんて、PS2ってホントすごい!って思ったように覚えています。
単純に美麗さで言えば「FFX」や「GT3」の方が上だったと思いますが、ゲームを構成する雰囲気で言えば圧倒的に「ICO」の方が勝っていたと僕は思うんですよねぇ。

お店で流れていたこのデモ映像を何度も見た後、売り場を探すとソフトを発見。
購入して家に帰って早速プレイ。
夢中になって遊びました。

●「ICO」、その鮮烈なゲーム体験

なんの説明もなく進んでいくオープニング。
どうやら生贄として捧げられた角の生えた男の子が主人公。

この少年がイコ。
訳もわからないまま城の中を歩いていると、カゴの中に閉じ込められた、半透明のように透き通る少女と出会う。

この少女がヨルダ。
イコとヨルダの2人で霧の城から脱出する、それがこのゲームの目的。
ヨルダを連れ去ろうとする影のような存在と戦うアクション要素もありますが、基本的に様々なトラップを回避し、ギミックを探し出して行き道を見出していくパズルゲーム的な要素が強いです。
謎解き探索アドベンチャーゲームといったところでしょうか。

ただ、メッセージによるヒントはほとんどないから自分の目で見出して判断していく必要があります。
まぁ似たようなゲームは他にもあるかもしれませんが、この「ICO」というゲームを唯一無二のものにしているのが、イコとヨルダの2人で脱出していかなければならないという点です。
2人で脱出、2人で行動と言っても、たとえば操作キャラのもう一方は勝手に行動し、敵とも戦うとか、要所要所で操作キャラを入れ替えるとか、そんなことはありません。

この女の子、ヨルダちゃん。
基本的に自分では何も出来ません。
歩くことはできるけど非常にゆっくり、しかも何かあるとすぐに固まって足が動かなくなり、影にもあっという間に捕まります。
そんな足手まとい女子守ってあげないといけないヨルダちゃんと2人して、どうやってギミックだらけの城から脱出できるというのか。

それがこのゲーム最大の特徴、“手を繋ぐ”ことなのです。

●手を繋ぐということ。

この「ICO」というゲームで一番重要なのはR1ボタン。
2人が離れている時にR1ボタンを押すと、イコはヨルダを呼び、ヨルダが近くまで来ます。
そして2人の距離が近い時にR1ボタンを押すと2人がここで手を繋ぐのですが…

これこそがこのゲーム一番の醍醐味!
R1ボタンを押し、2人が手を繋ぐとデュアルショック2がブルっと震えるんですよぉぉぉ!


これは衝撃でしたね。
思い起こせば振動するコントローラーを初めて体感したのはN64の「スターフォックス64」
主に自機がダメージを受けた時などにブルブルッと振動していました。
その後、プレイステーションやドリームキャストのコントローラーも振動するようになってきて。
コントローラーの振動が真価を発揮するのは、やはりアクションゲームやレースゲームなどでダメージを受けた時が多かったと思います。

しかしこの「ICO」ではまさかの女の子と手を繋いだ時にブルブルっと震えちゃうのですよ
初めて体験した時は本当にびっくりしましたねぇ。
デュアルショック2を握る手を通じて全身に電流が走った気がしました。
いやマジで。
ゲームなのに、コントローラーで操作しているキャラなのに、本当に手を繋いでいるような錯覚を覚えたのです。

初めて好きな女の子と手を繋いだ時。
胸はドキドキ、すっごい緊張、握ってる手が汗をかいてるんじゃないか、緊張で腕が体が震えてるんじゃないか、そんな僕の動揺が彼女に伝わってしまってるんじゃないか。
あの時のなんとも言えない緊張感を、ほんのちょっとの振動だけで再現しているのようなそんな感じでした。
無機質なはずのデュアルショック2に温もりさえ感じたほどです。
いやマジで。

こうして手を繋いだら後は2人で脱出するだけ!なのですが、ヨルダはか弱い女の子。
イコと同じようには走れません。
なのでイコがヨルダの手を引いたまま全力で走ると、ヨルダは無理矢理引っ張られるような形になって、前屈みで足をもつれさせながら走るのです。
細い手がちぎれてしまうんじゃないかって思うほどにイコは容赦なくヨルダを引っ張るわけですよ。
そんなヨルダを見て、ああっスピードを緩めなきゃ!って思わせられてしまうのです。

急がなきゃいけない場面でも、苦しそうに前屈みで引っ張り回されるヨルダを見ると急げなくなってしまうんですよ。
放っといたらすぐに影に攫われちゃうヨルダちゃん。
あまりに高い場所から飛び降りるとなると怖がって嫌々言うヨルダちゃん。
絶対に守ってあげなきゃいけない感が出てるんですよねぇ。

年齢不詳だけど自分が操作するイコよりも背が高いので絶対年上のはず。
年上の、か弱い女の子を守ると言うシチュエーションがまた、たまりませんでしたなあ。
大体にして、ツノがはえて生まれたがために生贄として捧げられる宿命だった少年と、霧の城に囚われの少女というシチュエーションが、僕の中の永遠の中二心をくすぐって仕方がありませんでした。

繋いだ手を離さないでよ。
2人今、城を駆け出していく。

あ、YOASOBIの「夜に駆ける」が、ぴったりマッチ。



ちなみにセーブの仕方は2人揃ってベンチに座ること。

こういった遊び心もまたいいですね。

●ゲームをとりまく雰囲気、音楽がたまらない。

そんな2人が手を取り合って進む霧の城の雰囲気が非常に良くって。
ゲームの世界に没入するための雰囲気づくりが非常に徹底されています。

ビジュアル面でも古城の雰囲気はもはや芸術の域。
また、光や影の演出が非常に巧妙で古城の雰囲気をさらに強く醸し出しているのです。
そんな雰囲気バツグンな霧の城の中、早く脱出しなければいけないのでゆっくり見て回れる状況ではないのですが、全てをゆっくりと見て回りたい衝動に駆られてしまいます。
それなのにモタモタしてたらヨルダが影に攫われちゃうので、急がなければいけないもどかしさ。
これも時間がないことを示す雰囲気作りの賜物でもあるでしょう。
キャラクターのセリフも非常に限られており、要所要所でしか話をしません。

そしてゲームを彩る“音”がまたいいんだ。
BGMも超名曲揃い。
最初にあげた「Castle in the Mist」も名曲ですが、テーマソング「You Were  There」もまた掛け値なしの名曲です。

他の曲も間違いなく名曲揃いではあるのですが、サントラを聴くと、このゲームのBGMは曲数が意外に少ないことがわかります。
というのも名曲揃いのBGMですが、実際のゲーム中には殆ど流れません。
風の音、水の音、金属が軋む音…
このゲームを彩る音は殆どが環境音なのです。
これがまた、このゲームの雰囲気作りに一役買っているんですよねぇ。

明るく、広い場所に出た時の安心感。
暗い場所で影たちが現れた時の不安感。

それらを環境音だけで表現しているんですよ。
まさにキング・オブ・ザ・雰囲気ゲー。
それもただ雰囲気が良いだけでなく、謎解きやパズルといったゲーム部分が非常によく出来ているから面白く遊べるんですよねぇ。
改めて、本当に大好きなゲームです。

●2周めで…?

ちなみに、このゲームは周回プレイが可能ですが、できれば最低2週目までは遊んで欲しいのです。
2周目は色々な要素が追加されるのですが、1番大きな点として、ヨルダや敵の親玉クイーンが何を言っているのかがわかるようになるというポイントですね。

ゲーム中、ヨルダは主人公とは別の言語を喋っており、何を言っているのかさっぱりわかりません。

ですが、2周目ではこのナメック語みたいな言葉に字幕がつくので彼女が何を言っているのかがわかるようになります。
これはぜひ、2周目を体験して自分の目で確かめてもらいたい!

あと、エンディングがちょっとだけ変わります。
このゲームの世界観にそぐわないのでは?なんてことも思ってしまいそうな内容のエンディングですが、僕はなんだかほっこりできたので良しとしました。
これはこれで好きなエンディングです。
ぜひ2周目までクリアして、ほっこりして欲しいものですね。

ちなみにあの宮部みゆきさんが「ICO」のノベライズを書いています!

ゲーム本編の内容と様々な違いはありますが、読んでみた感想としてはこの作品も紛れもなく1つの「ICO」
文章によって「ICO」の世界の雰囲気を再現できているのがさすが。
もともとがゲーム好きで「ICO」を愛してやまないという宮部みゆき先生が、自分から望んで執筆したというこの作品。
「ICO」が好きな方には是非とも読んでほしい作品です。

●今回のまとめ

今回はPS2「ICO」についての思い出語りでした。 

長々と語りましたが、この「ICO」というソフト、僕の中ではPS2ソフトの中で紛れもなく1番好きなソフトです。
PS2どころか全てのゲームの中でもトップクラスに好きな作品。
今でも時々遊びたくなります。
好きすぎて、PS2ソフトを2本持っているぐらい。

こ、これにはまぁワケがありまして。

この大好きな「ICO」のソフト、当時仲良くしていた職場の後輩の女の子に貸したんですよ。
ゲーム好きな女の子だったから、これをきっかけに仲良くなりたい!っていう下心も大きかったんですけど、「ICO」というソフトの素晴らしさを知ってもらいたい!というのがあったのですよね。

ところが「ICO」を貸してしばらく経たないうちに、この子ったら退職しちゃいまして。
職場に対しても何も言わずにある日突然辞めちゃったもんだから、連絡さえも取れなくなってしまって。
僕の大切な「ICO」を持ったまんま、好きな男と一緒に県外へ引っ越して行った、というのがもっぱらの噂。

いやまぁ、「今付き合ってる人、いないんですぅ」とか言いながら、実は付き合っていた相手がいたというのは別に良かったんですよ。
もっと仲良くなれたらいいなとは思っていたけど、付き合えるだなんて思ってなかったし。(いや、ちょっとは思ってたと思うけど)

だけどせめて辞めると決めたのならね…

貸したICO返せよ!
貸したICO返せよ!
明日ICO返せよ!おう!
貸したICO、はしたICOなんでしょ…じゃねぇぇぇ!


はしたICOじゃねえぞぉぉぉ!

そんな理由で僕の手元から去っていった大事な「ICO」
僕は他にもGBAの「MOTHER1+2」および「3」を、当時付き合っていた彼女に貸したら返してもらえないまま別れてしまった経験もあります。

はしたMOTHERじゃねえぞぉぉぉ!

っていうか、僕ってばなんでこんな経験ばっかりしてるんでショ。
こんな経験ばっかりしてるから、ゲームをあまり遊ばない奥様と結婚したのかもなあ。

トラウマ話はこれぐらいにしておいて、そんな理由で「ICO」を手放さざるを得なかった僕ですが、続編の「ワンダと巨像」が出る頃だったかな。
どうしてもまた「ICO」を遊びたくなってですね。
ベスト版で発売されていた『ICO」を購入したわけなんですよ。

まぁゲームはそれで良かったわけなのですが、パッケージがですね…
どうにもベスト版の無粋な枠が気に入らなくてですね…
中古ソフトでベスト版ではない無印の「ICO」を発見したときに、その完璧なパッケージ欲しさに2本目の「ICO」を購入したというわけなのです。(正確には3本目か…)
そんな苦い経験まで思い出してしまう「ICO」も今年で発売から24年かぁ。
今でも時々遊びたくなります。

PS3で出ているリマスター版遊んじゃうかな。
ソフトそのものは前もって購入していたし。
Vitaでリモートすれば気軽に遊べますしね。
ただ、Vitaでのプレイでは「ICO」の素晴らしさを完全再現出来ないんですよ。

なので手軽に「ICO」の全てを楽しむために、リメイクではなくリマスターでいいのでSwitchで出してくれないかなぁ。
いや、Vitaで出す以上に無理な話ってのはわかっているのですが。
サードパーティ製のソフトならいざ知らず、ハードメーカーでもあるSIEのソフトを他メーカーのハードで発売なんて出来ないだろうし。
逆に「マリオ」や「ゼルダ」がPS5で出ることもまずありえないのと同じわけで。
でもSwitchの携帯モードで気軽に遊べるのももちろんですが、JOYコンのHD振動は「ICO」にぴったり合っていると思うのですよ。
つまり「ICO」の全てを楽しむためには、ヨルダと手を繋いだ瞬間の振動が必須なワケであって。VitaじゃダメなんだですよVitaでは。
振動機能のないVitaだと、ヨルダと手を繋いだ瞬間のあのなんとも言えないドキドキが再現されないんだよぉぉぉ。

Switchで発売されるような奇跡が起きたら僕は狂喜乱舞します。
ま、ここまで書いていながらそれでもやっぱり絶対に有り得ないのはわかっているので…
(2025年追記。「みんなのGOLF」や「パタポン」がSwitch向けに発売されたので、ひょっとしたら「ICO」がSwitchで出る可能性も0ではなくなったかも。バンナムさーん!「ICO」や「ワンダ」もお願い!))

振動機能のついたプレイステーションVita2を発売してください。

「ICO」のリメイクを発売してくれたら間違いなく書いますよおおお!
(最近、PSP2やVita2開発中の噂はありますね)

今回はこの辺で。

いつかまたここで会いましょう。

書いてたら遊びたくなってきたので、PS3のリマスター版を遊ぶとしますか。

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