いろんな意味で話題をかっさらい、話題になったにも関わらず、興行成績では大爆死した実写版の「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」
僕は「ジョジョの奇妙な冒険」というマンガが大好きで、中学生の頃に読みはじめた第一部から現在の第八部にあたる「ジョジョリオン」まで欠かさず読み続けています。
コミックスも当時から収集し続けており、絶望的な金欠状態に陥った過去、「うしおととら」「聖闘士星矢」「北斗の拳」「キン肉マン」といった愛蔵書を手放した際にも、「ジョジョ」(と「ワンピース」)は手放さなかったほどです。
そんな「ジョジョ」愛の深さ故に、明らかに地雷と思われる実写劇場版に対する拒否感は半端なく、その拒絶反応は「テラフォーマーズ」の比ではありませんでした。
「ジョジョの奇妙な冒険」の映画化ッ!
そうッ!コーラを飲んだらゲップが出るくらい確実なんじゃッ!
なので、当然最初から映画館には見に行かなかったし見に行くつもりもなかったし、DVD化してもレンタル視聴していませんでした。
だって、地雷とわかっていて、わざわざ踏みに行ったりせずに回避をするでしょう?
誰だってそーする。僕だってそーする。
そんな「ジョジョの奇妙な冒険」の実写版が、Amazonプライム・ビデオで無料配信が開始されていました。
Amazonプライムなら、無料で見れるし、「テラフォーマーズ」と同じく、怖いもの見たさで見てみてもいいかな、と思ったのですが…
なんだか再生する気が起きなくて、明日見よう、明日見ようと先延ばしにしてきたのですが…
いずれ見ようと思っていた映画がいつの間にやら見れなくなってることもよくあるんですよねぇ。
やっぱり見るなら無料で見れる時に見ておくしかないか。
ねーちゃん、あしたっていまさ!
しかし「テラフォーマーズ」しかり、「るろうに剣心」しかり、原作ありきの映画ではキャスティングの合う合わないはもとより、原作から乖離しすぎた設定改変(時に改悪)が見られることも多いのが事実。
しかも今回は実写化がかなり困難と思われ、個人的思い入れが強すぎる「ジョジョの奇妙な冒険」。
期待度0で見てもそのショックは計り知れないかもしれない。
視聴するのにかなりの「勇気」をもって「恐怖」を我が物とする必要があります。
覚悟はいいか?オレはできてる。
まだ見てないけど、見ようと思っているのでネタバレが怖い人、ジョジョ愛が深すぎて見たくない人は、この先はクールに去ることをオススメします。
結論。
悪くなかった。
「テラフォーマーズ」と同じで芸がないように思われるかもしれませんが(あながち間違いでもないですが)、「テラフォーマーズ」では、良かったというわけでもないと書きましたが、「ジョジョ」の方は想像していたよりもずっと良かったです。
食わず嫌いは良くないな、と思いました。
「テラフォーマーズ」と同じく三池崇史監督作品ですが、「テラフォーマーズ」ほどの原作改変は見られず、ネタとしか思えないようなオリジナルの設定改変も見られませんでした。
(メンバーが全員日本人になっているとか、ヒロインが怪人化するとか、こちらでレビューしてます)
キャスティングに関しては、実写化するには誰が演じても完全再現は難しいと思うので、頑張っている方だと思いますよ。
実際、今回見るまでは僕も、「これはないわー」と思っていた1人ですが、それならば誰が演じれば良かったのかという話になるわけで。
今の日本人俳優にはいないよなぁ、この人なら空条承太郎を演じても大丈夫ッ!って人は。
そう考えると「るろうに剣心」の蒼紫役といい、叩かれることが想定される役割を、だが断る!なんて言わずにあえて担う伊勢谷友介さんの中に黄金の精神を見ましたよ。
仗助役の山崎賢人さんは悪くなかったです。
承太郎と同様に、誰が演じてもそれなりに叩かれるキャスティングにも関わらず、仗助らしさを演じることが出来ていたんじゃないかなぁ。
見るまではやっぱり、「ないわー」と思ってましたけど意外に良かったので、ディ・モールトッ!とまではいかなくてもペネ!くらいは評価してもいいかな。
康一役の神木隆之介さんは、仕方のないキャスティングでしょう。
原作では低身長の広瀬康一を、じゃあ誰が演じるのかとなれば、身長はさておいて童顔の神木さんが選ばれたのは妥当といえば妥当なんじゃないかな。
山田孝之さん演じるアンジェロは良かったですね。
ま、僕の中で、俳優・山田孝之さんが好きっていうのもありますけど。
それと億泰役の新田真剣佑はハマっていたと思います。
岡田将生の計兆兄貴は、原作イメージより若い感じでしたが、まあ悪くはなかったかな。
康一とアンジェロが少し原作イメージから変わってますが、まぁそこまで原作のイメージを大きく逸脱してしまっているような改変ではなく、今回の実写版、ちょっと見直しましたよ。
テラフォーマーズの宇宙服に比べれば全然マシです。
批判の的になりがちなオールスペインロケも、荒木先生の描くアートじみた街並みを実写で、と考えたら選択肢の1つとして考えてもアリだとは思います。
CGを駆使したスタンドバトル良かったです。
浮いたCG感もそこまで出ておらず、スタンドの雰囲気がよく出ていました。
最後に出てきたシアー・ハート・アタックがかなりブリキのオモチャ感が出ていたのがちょっとアレでしたが、シアーハートアタックは元々そんな感じの設定だったかな。
オモチャのようなのにめちゃめちゃ頑丈、みたいな。
ストーリーも若干のアレンジを加えつつも、ほぼ原作通りに作られており、製作者の独断による原作改悪等は一切なく、意外と言っては失礼ですが原作愛を感じる、良い出来でした。
視聴する前は、観た後にキングクリムゾンで視聴したことを吹っ飛ばしたくなるような、そんな映画かもとか思っていたけど、いやいやなかなかどうして、充分(ネタとしてでなく)楽しんで見れた映画でした。
そりゃまあ、原作好きとしてはツッコミどころもいっぱいあるし、違和感覚えるところも多々ありましたけどね。
期待せずに見たら、想像していたよりも良かった、そんな感想です。
これなら続編見てもいいかなあと思う内容だったのですが、多分ないだろうなあ。
興行成績はかなり悲惨な結果みたいですし。
ただ、「ジョジョの奇妙な冒険」という、コアなファンが多く、最初から実写化が高いハードルの作品を、「テラフォーマーズ」「無限の住人」とマンガの実写化で興行的な失敗が続き、原作クラッシャーという不名誉な称号が有名になってしまった三池崇史氏が監督を務めるということで更にフィルターがかかってしまって、公開前からのネガティブな評価が集まった不運もあるでしょう。
まあ、そう言う僕自身も内容をろくすっぽ調べもせずに実写の「ジョジョ」なんて絶対に見ない!と言っていた1人なので、人のこと言えないですけどね。
ただ、コケる可能性が高い映画を、失敗を恐れずに作りあげ、ちゃんと見ればある程度は評価出来る内容に仕上げたことには拍手を送りたいッ!
いいかよく聞けッ!
真の失敗とはッ! 開拓の心を忘れ!
困難に挑戦する事に、 無縁のところにいる者たちのことをいうのだッ!
かのスティーブン・スティール氏の言葉を引用するならば、困難な道にあえて挑んだ製作スタッフたちの仕事は決して失敗ではなかったッ!
と言えるのではないでしょうか。
ま、興行的には間違いなく大失敗だったわけですが。
それでも、もし奇跡的に第2章が作られるんだったら、今度はちゃんと見に行こうと思います。
そうですね、レイトショー料金なら。
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