昭和のゴジラシリーズ、たとえ全体の作りが子供向けであったとしても、低予算からの使い回しが散見されても、ゴジラが空を飛んでもシェーをしても、ゴジラと似ても似つかぬ息子が登場したとしても、まぁそれは昭和という時代背景もあっただろうし、子供向け、ファミリー向けに作っているんだろうという思いもあるので、概ね許容範囲で見ることができます。
今回、Amazonプライム・ビデオで改めて見直しも、「南海の大決闘」だって、「ゴジラの息子」だって、「ゴジラ対ガイガン」だってツッコミはいれつつ楽しめました。
「怪獣総進撃」のキングギドラへのあまりの仕打ちは痛々しかったですが。
「怪獣大戦争」や「オール怪獣大進撃」などは、なんだ改めて見ると意外に面白いじゃん!と、思うことさえありました。
「怪獣総進撃」のキングギドラは何度見ても涙目になってしまいますが。
ですが、そんな僕でもこれは許容出来ないという作品があります。
それが今回のお題、「ゴジラ対メガロ」
以前に見た時も、これはちょっとないなぁと思っていたのですが、改めて見たら少しは評価が変わるかと思いましたが、20年近く前に見た印象から全く変わりませんでした。
やっぱりこれはない。
最大の要因はゴジラのパートナーたるジェットジャガーですね。
まずそのデザインとネーミングからしてアレですけども。
恐らくはウルトラマンを代表とした巨大ヒーローをモチーフとして生み出されたもので、当時の流行に乗ったものだとは思うんですよ。
それをゴジラに持ってくるのはどうかと思うのですが、まあ狙いとしてはわからなくもない。
ですが、そのジェットジャガーの設定ですがね。
元々は若い1人の科学者が生み出した人間サイズの万能ロボット。
遠く離れた怪獣島まで飛んでいき、ゴジラと意思疎通まで出来る、ベイマックスもビックリの設定なのですが、問題はその後。
暴れ回るメガロを前に、突然の巨大化。
メガロもビックリして固まってしまうぐらいの急展開。
それを見た製作者である青年博士曰く、「危機を感じて自我に目覚めた」「自分が戦わねばならないと、自らの意思で巨大化した」と解説。
なるほど!そういうことだったのか!
それなら納得が…
つくかぁーーー!
いや、ワケわかんねぇし。
突然、自我に目覚めて、意思を持って巨大化って、どんなメカニズムよそれ!?
ガイガンとメガロを追っ払ってゴジラとガッチリ握手。
いいよゴジラはそれでもう。
怪獣島で飼いならされて、地球の危機には出動するヒーロー怪獣。
それがこの頃の、子供達に愛されたゴジラなんだから。
でもジェットジャガーは、この後で再び人間サイズへ縮小。
…アンタ、それでも科学者⁉︎
ご都合主義にも程があります。
今回の人類の敵となるシートピア海底人にしたって、もう何がやりたいのか。
我々は報復する!
守護神メガロよ!東京を破壊するのだ!
いや、なんで東京⁉︎
そのメガロも本来は平和な国の守護神なためか、戦い慣れしていないようで、ジェットジャガーのありえない巨大化にビックリしたりと、まさかの苦戦。
平和を愛し、戦いを望まない人達が、一度は地球へ侵略してきた宇宙人と交流があるの⁉︎
もしかしたら、M宇宙ハンター星雲人に上手い具合に騙されて利用されているだけなのかもしれませんが、そんな説明は一切ありません。
メガロが負けたら地上攻撃も終了。
一体何のためにやってたの⁉︎
大体にしてメガロを東京へ誘導するために、1人の青年博士が個人的に開発したロボットを使わなければいけないなんて、何その回りくどすぎる作戦!
ウルトラセブンの「ノンマルトの使者」を彷彿とさせる設定のシートピア海底人ですが、その深みについては雲泥の差ですなぁ。
前作のM宇宙ハンター星雲人も子供向けの設定ではありましたが、自分の母星の人間たちが絶滅したのを見てきたが故に、『真の平和』を追求するなど、その設定の深みを感じられる部分もあるにはありました。
子供向け、も行き過ぎたら子供騙しと言われますが、これは子供も騙されないレベルではないでしょうか。
実際に僕が初めてテレビで見たのも小学生低学年の頃だったと思いますが、更に小さな弟とともに「わけわからんし、変なロボットだし」と笑っていた記憶があります。
これで子供は騙せるだなんて思っているなら、子供舐めすぎですよホント。
新怪獣のメガロは、前作のガイガンに続いてデザイン、造形はいいんですけどね。
映画の他の要素、というか全てがダメすぎて、メガロという怪獣そのものまで黒歴史扱いになった悲しき怪獣と言えるかもしれません。
ですが、そんなメガロだからこそ、「ゴジラ ファイナルウォーズ」には、ヘドラではなくメガロを出すべきだったと思うんですよ。
コメント
こんばんは。
突っ込み所満載な「ゴジラ対メガロ」。あれは無意味に長いカーアクション、科学では説明のつかない構造のジェットジャガー、早いわ軽いわの常識破りのスピーディー怪獣バトル、今や伝説の「飛んでる」ドロップキック等々、遊んでいるのかマジなのか分からない展開が笑えますが、それ以上の謎がシートピア人とは何者か!?
300万年前なんて人類発生以前の事。M宇宙ハンター星雲のG達と友好関係にあるところからすると、もしかして滅亡寸前に地球に移住してきたハンター星雲の人類の末裔なのかも!?
彼らの地上攻撃は一見報復のように見えるけどそれは口実で、核実験の問題が無くてもいずれはG達と組んで地上征服に乗り出したのではないでしょうか!?そう考えれば、地上人側に警告を発するでも無く一方的に攻撃してきた彼らの無茶振りにも納得がいきます。G達もやたら平和をお題目にしてましたし、似てますよ。この2者。何にしても、私はハナからこのシートピアン達には好感を持ってませんでしたけど。
ここではゴジラが何故か同じ核の被害者であるシートピア人と敵対している事が言われてますが、ゴジラはただ日本の危機を救いたかったのでしょう。前作でゴジラとアンギラスは危ういところを日本人達に救われてますから、少なくとも日本には恩義を感じている。だからこそ、謂れのない攻撃を受けている日本を救いたかったのだと思います。日本だって核の被害者なんですから。
http://plaza.rakuten.co.jp/achachan
>>A-chanさん
こんばんは。
シートピア人とMハンター星雲人の交流もいろいろ考察すれば理由も見えてきそうですね。
ただ、本当に当時の映画の制作陣がその理由を深く考えていたのかなぁとか訝しんでしまうのが、この「ゴジラ対メガロ」
同じく子供向けだった前作「ゴジラ対ガイガン」でも、設定島には説得力があるものが用意されていたのに今作にはそれが感じられなくて。
A-chanさんも言われているゴジラのドロップキックや、ジェットジャガーの理屈不明の巨大化など、制作陣の子供向けなんだからこれぐらいでいいだろうと深く考えずに作ったのでは?とか考えてしまうんですよねぇ。
実際、続く「ゴジラ対メカゴジラ」や「メカゴジラの逆襲」では下地や裏設定がしっかりと掘り下げて制作されており、当時の時代背景を差し置いても「ゴジラ対メガロ」の怪獣映画に対するおざなりな制作姿勢への批判が大きかったのかなとも思えますね。
となると、かわいそうなのはタイトルに名を冠しているメガロさん。
もともとはシートピアの守護神として国を護るべき怪獣なのに、護るべきシートピア人の八つ当たり的な暴挙のために全く関係のない日本への攻撃に駆り出され、慣れない戦いに四苦八苦し、助けに来てくれたはずのガイガンには先に逃げられるなど踏んだり蹴ったりのメガロさん。
ゴジラと対戦した怪獣の中で唯一、平成の世に復活も出来なかったメガロさんを思うと、ちょっと不憫に思えますね。
こんばんは。
確かにメガロさん、不憫です。お尻ペンペンしたり、お茶目なのに・・・・・・(ちなみに、ガイガンの相棒はキングギドラより彼の方が似合うと思うのは私だけ?)。
ジェットジャガー・・・・・・彼はモスラとかファンタジー系のキャラクター以上に説明のつかないキャラクターですね。まさに「ご都合主義」の権化!いや、シートピアン達のあまりの理不尽さに怒った神様が力を与えて下さったのかしら・・・・・・?
ともかく、事が終わった後はジェットジャガーはご近所の名物、六郎くんの友達の良い遊び相手、これで家事の才能があれば文句の付け所は無いのですが(笑)。その他、危険な場所での作業や人命救助にも貢献してくれそうですね。
http://plaza.rakuten.co.jp/achachan
>>A-chanさん
こんばんは。
「ゴジラ対メガロ」という映画自体は子供の頃からあまり好きになれなかったのですが、メガロという怪獣はそうでもなく、子供の頃はむしろ好きな怪獣だったかもしれません。
映画を初めて見たその以前に本や人形でメガロという怪獣を知っていて、カブトムシをモチーフとしたその姿が子供心に好きになれたんでしょうね。
なので、その後の不遇っぷりが不憫で不憫で…
対してジェットジャガーはやはり子供の頃から受け付けられなかったんですよねぇ。やっぱりご都合主義満載のロボットだったからでしょうか(笑)