昭和ゴジラシリーズ最終作である「メカゴジラの逆襲」(実際はその後の84年版ゴジラも昭和の作品だし、「vsビオランテ」も公開したばかりの時期はまだ昭和でしたけどね)。
子供の頃にテレビで最初に見た記憶はあるのですが、前作に比べてイマイチ印象が薄く、チタノザウルスの印象の方が何故だか強かったんですよねえ。
それは、恐らく怪獣たちが戦う背景にある人間ドラマが子供の頃の僕にはよくわからず、まだ単純明快だった前作の方が好きだったというのがあるのかもしれません。
その後、僕も思春期を迎えた頃、我が家にビデオデッキが導入されて、改めてゴジラシリーズをレンタルしてきて、この映画もしっかりと見ました。
そして、ゴジラは今作において、本当に存在感がないということも。
小さな子供の頃にテレビで見たのなら、これはピンとこなかったはずだ。
前作にも登場したブラックホール第3惑星人に利用され、チタノザウルスを誘導し、メカゴジラⅡの頭腦となる運命を背負ったサイボーグ少女、桂。
彼女は今作におけるヒロインですが、実質主人公と言っても過言ではない。
父親は、自身の研究を受け入れられずに学会を追放されたため、人類を憎むようになったマッドサイエンティストで、そこをブラックホール第3惑星人につけこまれてしまい、手を結びます。
桂も父親の力となるべくチタノザウルスのコントロールなど協力しているのですが、若き科学者、一ノ瀬と出会い惹かれ合っていくうちに父親の過ちに気づいていくのです。
純粋にゴジラとメカゴジラのバトルを楽しみにしていた子供からすれば、人間ドラマに比重が置かれている今作は退屈かもしれません。
この辺は「怪獣大戦争」に通じるものがあるかもしれませんが、こちらの方がより重いドラマになっており、子供人気を得られずにシリーズ最低の興行収入になってしまったというのもなんだか頷けます。
実際、昭和ゴジラシリーズの中後期作品によく見られた、妙な悪ノリ演出はほとんど見られず、作風は最後まで重く、暗い。
ここまで徹底して重く作られてるのは「モスラ対ゴジラ」以来です。
ゴジラに関しては「対ガイガン」以降の完全な正義の味方路線で、特に理由もなくメカゴジラ&チタノザウルスの迎撃に現れ、子供を助けるシーンもありますが、ホント出てきては戦うだけの存在感。
メカゴジラ、チタノザウルスと比べてドラマにはほぼ絡んでおらず存在感が非常に薄い。
まぁ、タイトルにも名前を冠していないので、今作においては完全に脇役ですね。
超音波に苦しみ、コントロールも解けて戦意を失っているような、”本来はおとなしい恐龍”であるはずのチタノザウルスに追い打ちをかけるように徹底的に痛めつけて海へ追い落としたゴジラがむしろ悪役に見えたほどです。
もう少し後の時代に生まれて、大人向けにクローズアップされていれば、興行収入や評価はもうちょっと違っていたかもしれませんね。
生まれるのが早すぎた、そんな作品ですが、個人的に昭和ゴジラシリーズ後期作の中では1番好きだと言える作品でもあります。

コメント
こんばんは。
「メカゴジラの逆襲」で強烈なインパクトを観る人に与えている真船博士ですが、世間(の負の部分)を知り過ぎている芹沢博士と違って、浮世離れしているというか、独り善がりというか、一般的な世間の常識を知らなさ過ぎますね。どちらも平田昭彦さんが演じておられるというのに、ここまで正反対なキャラクターは珍しいです。
例え自分は悪用しないつもりでも、発見した恐龍を自在にコントロールするなんて事を言えば誰だって危ない人だと思って警戒するのは当たり前。それを逆恨みして復讐を考えるなんて、どれだけ自分を偉いと思っているのか。
娘・桂さんは見たところ、父親ほど世間に恨みは抱いてませんね。研究を成功させて世に役立てれば世の中の人達は分かってくれると信じている感じ。これはお母様の影響かもしれません。でも、こんな研究をしている事自体、真船一家は浮世離れしてますよ。
もし生物コントロール装置を悪用しようとする輩が現れて妻と娘を人質に取られでもしたら真船博士も言いなりにならざるを得ないでしょう。前作の宮島博士が良い例です(この方も平田さんが演じてましたね)。芹沢博士も悪い輩に恵美子さんを人質に取られて言いなりにさせられた時の事を考えていたのかもしれません。
真船博士が独善的な性格になってしまった責任の多くは周囲にあるのかもしれませんが、芹沢博士も色々な人達との触れ合いが無ければ真船博士のようになっていたかもしれません。それを思うと2人は「光」と「影」。対なのでしょうね。
最後に罪の無いチタノザウルスの事ですが、ゴジラはただ彼のコントロール装置を破壊しただけで、きっとどこかで生きている。そう思いたいです。
http://plaza.rakuten.co.jp/achachan
>>A-chanさん
こんばんは。
運命に翻弄され、命を落としサイボーグとなって利用されながらも一ノ瀬と出会うことで人間の心を取り戻すに至った桂の悲劇とともに描かれる、真船博士の狂気の復讐劇とも言える今作。
昭和ゴジラシリーズの時間軸を年表にしてみて大真面目に考えてみると、真船博士がチタノザウルスを発見した15年前。
「メカゴジラの逆襲」公開が1975年なので、15年前は1960年となり、その5年前に「ゴジラの逆襲」でゴジラとアンギラスが大暴れした後、日本の人々が巨大な怪獣の恐怖をまだ覚えているような時代ですね。
もちろんゴジラ自体が侵略者から人類を守ってくれるような存在ではなく、畏怖すべき対象でしかない時代に発見された新たな巨大怪獣をコントロールしてしまおうだなんて、そりゃあ周囲から反対されて危険視されてしまうことは間違いないわけで。
うん、その思想を危険視され、反対されたのはしょうがないかな。
ただ、真船博士を追放しただけで、チタノザウルスの存在を放っておいた学会の方にもちょっと問題があるかな。
真船博士をなんとか説得し、チタノザウルス保護に尽力をしておけば、その後の桂の悲劇もなかったと思うと、例え1人の人間が誤った思想を持ってしまったとしても、周囲の人との繋がりがもっとしっかり出来ていればと考えさせられてしまいますね。
ゴジラspで遂に再登場した、チタノザウルス…まあ、ゴジラの進化途中(ただし、ここら辺の設定はまだわからないことが多い)みたいな扱いなんですけど。
後、どうでもいいですけど、ゴモラとゴジラって一文字違いのはずなのにゴモたんはしっくり来るのにゴジたんは全くしっくり来ないのは何でだろ(マジでどうでもいい)。
>山々さん
ゴジラspは新作アニメですね。視聴できる環境がないのでまだ見てませんが…
ジェットジャガーが出るのは知っていたのですが、チタノザウルスも出るんですね!
うわぁ、見てみたい。
ゴジたん…なるほど