「ゴジラ」84年版。生まれて初めて観た大スクリーンの中の大怪獣。

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どーも、たけGです。

84年に公開された「ゴジラ」。

この作品は僕が生まれてはじめて映画館で見た、記念すべきゴジラ映画です。

今までテレビで放映される過去のゴジラ映画を見ることが全てで、それも正義の味方としてのゴジラを見ることがほとんどだったので、初めて劇場の大スクリーンで観る、人類の脅威として畏怖すべき存在のゴジラにただただ圧倒された記憶があります。

まぁ、この頃は確か小学校高学年か中1くらいの頃でしたが、雑誌やムック本などの情報から、ゴジラという怪獣はテレビで見てきたような人類の味方という側面だけではなかったということは既に知ってはいました。

公開前にはジャンプとかでも巻頭で大特集してましたしね。

ですが、初代「ゴジラ」から「モスラ対ゴジラ」の、ゴジラが徹頭徹尾、人類の敵であり脅威で放映る4作はテレビで見た記憶がないんですよねぇ。

映画館でリバイバル上映とかもやってたと思いますが、親にお願いしても簡単には映画館まで行くことが出来るような環境でもなかったので、映画館で映画を観るなんて1年に1回あるかないか。

なのでわざわざテレビで放映されるかもしれない昔の映画のリバイバル上映なんておねだりしても観に行けなかったんだと覚えています。

そんな環境だったので、初めて見ることが出来る、敵としてのゴジラがとても楽しみで楽しみで。

親にお願いして、家族4人で観に行ったことを覚えてます。

父や母の映画としての感想がどうだったかは、どのように言っていたか覚えてないのですが(そう言えば母が、あの悪評高い、武田鉄矢演ずる浮浪者のとこが面白かったと言っていたことは記憶しています)、僕と弟はあの時ただ興奮していましたねぇ。

ま、弟はその後のシリーズを見なくなったので、これをもって卒業したのかな?

でも、僕はこの作品を機に一気にゴジラ好きとなり、その後に我が家でビデオデッキが導入された時には、シリーズ作品を一気に借りて見てしまいました。

当時刊行されていた、ノベライズ本、講談社X文庫のシリーズも読みまくりましたよ。


ショッキラスの群れが漁村を襲う場面とかもあって、映画とはまた違った面白さがありました。

それだけ、僕がゴジラシリーズにのめり込むきっかけとなった作品と言っても間違いないです。

その後、「vsビオランテ」以降シリーズが続いていくわけですが、シリーズが続いていくうちに、同じゴジラファンの方々からの評価が低いということを知るようになっていきました。

僕個人としてはあんなに面白かったのに何故不評なんだろうと、その時は不思議に思ったもんです。

僕が個人的にこの84年版「ゴジラ」が好きな理由。

それはやっぱり劇場でのファーストコンタクトであったからというのも大きいかもしれません。

生まれて初めて観た劇場の大スクリーンでの大怪獣。

そのインパクトはとても強烈でしたからね。

その後テレビやビデオで見直してみても、個人的には面白いと思うことが出来ていました。
まずはやっぱり、ゴジラが東京を破壊していくのは迫力満点。

「メカゴジラの逆襲」から9年。

特撮技術は流石に向上しており、これまでの昭和シリーズと比べるとレベルが明らかに向上しています。

って言うか、予算と期間が縮小されていったであろう平成シリーズ後半の作品と比べても高い特撮技術力を見ることが出来るんです。

ゴジラの造形に関してもそれまでの人間っぽい作りから一転、畏怖を感じる大怪獣のイメージとなっています。

では世間一般の評価が低くなってしまったのはどういったところなのか?

よく叩かれるのが新幹線のシーン。

ゴジラが来襲しているのになぜ普通に運行しているのか、乗客のかまやつひろしはなんでニヤニヤ笑っているのか、その辺が槍玉に挙げられるのですがそこは確かに頷かざるを得ませんが…

初代ゴジラも鉄道を咥えちゃってるシーンもあることだし、新世代のゴジラに初代の頃には存在していなかった、新幹線を襲わせたいという心情も、絵的にはわからなくはないんですよねぇ。

それならそれで、東京駅を襲撃させて停車中の新幹線を持ち上げさせるのもありだとも思うんですが。

それと、空飛ぶ炊飯ジャーと揶揄されることも多いスーパーX。

リアルな設定に回帰したと見せかけての現実にはあり得ない超兵器のぶちこみで、これまた賛否両論多いようですが、僕はどちらかと言えば賛の方で。

そのスーパーX登場前にレーザー兵器による攻撃も行われていたので、昭和ゴジラにおけるメーサー兵器がアリな、そういう世界観なんだなと思えましたし、何より初見の時はまだまだ小学生。

スーパーXとゴジラのバトルシーンに心踊らせていたように覚えています。

今回、改めて見ても専用のBGMをバックに登場するスーパーXのシーンは、子供の頃に劇場の大スクリーンで初めて見た時の興奮が蘇ってきました。

スーパーXがカッコいいのは、対ゴジラ用のカドミウム弾を撃ち込むシーンよりも、後半戦の残った通常兵器を全弾まとめてありったけ撃ち込む総攻撃シーンの方が絵的に迫力があって良いです。

大人になって改めて見ると、人々が避難した後とは言え、ビルを盾にするのはどうかと思いますが、効率的にカドミウム弾を撃ち込むシーンよりも絵的に映えていることからビジュアル重視の演出であるなあと伺えますね。

奮戦虚しく撃墜されて、倒されたビルの下敷きになったシーンには悲壮感さえ感じました。

あとは人間のドラマですが、ここは確かに各人物描写を上手く描ききれてなかったかなあ。

2代目まきごろうこと、田中健さん演ずるジャーナリストの牧と沢口靖子さん演ずる尚子とのロマンスは、2人の気持ちの推移が全然描かれてないというか。

特ダネのために尚子を利用し、尚子に軽蔑されたのを見た後で、ゴジラが迫るなか「絶対に死なせない」と尚子に言う牧に全く感情移入が出来ないんですよねぇ。

尚子もそんな牧に普通に体を寄せちゃうし。

2人の心が揺れ動き、近づいていく描写が全く見えないので、ゴジラによって孤立してしまった2人がなし崩し的に接近してしまった、それぐらいにしか見られないんですよ。

ま、子供の頃最初に見た時にはそこまで深く考えてなかったと思うんですけど、大人になって改めて見るとなんか気になりましたねぇ。

今や科捜研の女な沢口靖子さんの初々しすぎる棒読み演技を見られるのは今となっては貴重と言えるのかもしれませんが。

あとは悪評高い、武田鉄矢さん演ずる浮浪者役ですが、個人的には確かに無くてもいいピースかなとも思いますが、別にあってもいいピースだとも思っています。

こんな危機的状況の時に自身の危険も省みずに火事場泥棒のようなことをする奴って、絶対いると思うんですよ。

それを武田鉄矢が演じているのが重めに作られている今作において、少々、いやかなり浮いてしまっているのが問題だと思うんですが、「ゴジラ」に興味がなかった母が、この武田鉄矢関連のシーンが面白かったと言っていたあたり、いいアクセントになっていたのではないかとも思うわけなんですよ。

ま、無いなら無いで全然問題ないんですけどね。

そんななかで小林桂樹さん演じる三田村首相はいいですね。

ゴジラシリーズで1番カッコよく、強い信念を持つ総理大臣だと思います。

名前が1番最初にクレジットされていることから、この映画の主人公は間違いなく三田村首相。

三原山の火口に落ちるゴジラを見て涙する三田村首相のシーンは、シリーズ屈指の名シーンであると思います。

そして、今作「ゴジラ」を改めて見ると、そしてその放映当時をいろいろ振り返ってみると、ハリウッド映画に負けない大作映画を作ろう、魅せようという気概が非常に感じとれます。

これは昭和ゴジラシリーズにも、今作以降の「vsシリーズ」でも「ミレニアム」シリーズでも感じられない空気です。

撮影にロボットであるサイボット・ゴジラを使用したとか、実物大のゴジラの足を用意したとかもそうですが、1つ1つの空気感や雰囲気からそこはかとなく大作(ですよ)感が感じ取れるんですよね。

その大作感は果たして成功したのか?

この「ゴジラ」が公開された1984年と言えば、ハリウッドでは「ゴーストバスターズ」に「グレムリン」が公開され、翌85年には「ターミネーター」に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」が公開されています。

って言うか、この数年前には「スターウォーズ ジェダイの復讐」や「エイリアン」だって公開されているんです。

昭和ゴジラシリーズの頃には海外SF作品とタメ張っていた感のある日本の特撮映画ですが、この84年版「ゴジラ」が公開された頃には今見ても全然古さを感じさせないようなハリウッド発の大作映画がいくつも公開されていました。

それらハリウッド映画に真っ向勝負するが如く公開された84年版「ゴジラ」。

ハリウッドよ、これが日本の特撮だ!と言わんばかりに。

その結果は…と言えば、映画冒頭に出てくるお化けフナムシ“ショッキラス”のオモチャ感と、数年前の「エイリアン」のフェイスハガーあたりを比べてみれば一目瞭然ではないでしょうか。

そして、この84年版「ゴジラ」以降、ハリウッドのSF大作映画と日本の特撮を駆使したSF映画はどんなに頑張っても追いつけないぐらい(映像技術に関しては、ですが)の差が出来てしまい、その差は開く一方。

うーーん、かつては世界の頂点だったはずの日本のゲームのグラフィックが、今では海外のAAAタイトルに完全に水を開けられてしまっている状況に通じるものがありますな…

それでも、改めて最初から最後まで見直すと、子供の頃に映画館で興奮しながら観た記憶が蘇ってきます。

初めて劇場で観たゴジラ映画ということで、思い出補正の贔屓も入っているかとは思いますが、やっぱりシリーズの中でも好きな映画で間違いないですね。

この84年度版「ゴジラ」を観たからこそ、ゴジラが好きになり、それまでの昭和シリーズもビデオで借りて見て、「vsビオランテ」以降のシリーズも観るようになったきっかけの映画。

改めて見て、僕個人の中でも賛否が多い作品だなと思いましたが、いいところも悪いところも引っくるめて、好きだと言えるシリーズ随一の大作映画です。

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コメント

  1. A-chan より:

    こんにちは。
    シリーズの一番最初の「ゴジラ(1954)」の完成度・内容の深さ・メッセージ性などについては既に多くの方々が語っておられますので私も深く申し上げる事は無いと思いまして、昭和最後のゴジラ映画「ゴジラ(1984)」とひっくるめて話題に入らせて頂く事に致しました。
    「ゴジラ(1984)」は昭和シリーズの続きでは無く、後の平成VSシリーズの序章になるのですよね。と言うか、本来ならゴジラはあのまま三原山で永遠の眠りにつくはずのところが、ファンの熱意によって平成に入ってからは火山内でも生存可能な神がかりな怪獣に生まれ変わってしまいました(汗)。
    昭和の時代の怪獣達(ゴジラも含めて)なら火山に入ろうものなら、こんがり丸焼きになってしまうでしょうが、VSシリーズのゴジラは口からだけで無く体から放射熱線を発する事ができるようになっています。VSゴジラが生身でありながら火山内で活動可能なのは、これを応用したバリア能力のお陰と思っております。
    平成時代に入ってからのゴジラは昭和の時よりも体が大きくなり、能力もパワーアップしてますが、特筆すべき事は核爆発に耐えるというか吸収してしまう事ですね。昭和のゴジラはここまで不死身ではありませんでした。
    (続く)

  2. A-chan より:

    (続き)
    「ゴジラ(1954)」で山根博士はゴジラが水爆の洗礼を受けながら生きていると言われてますが、セリフをよく聞いていると博士の言う水爆の洗礼というのは「核爆発」では無く「放射能」の事のようです。昭和のゴジラは巨大な体と分厚い皮膚が通常兵器を受け付けないというだけで、作戦で動きを止めて喉元を集中攻撃すれば倒せる相手だと思います。ただ、放射熱線という飛び道具がそれを阻止してしまいますけど。
    ですから、もしオキシジェンデストロイヤーが無ければゴジラ殲滅の為に核兵器の使用が考えられたかもしれません。
    (現に「三大怪獣」の時にはゴジラ&ラドン対策に核兵器の話が出てますし、「南海の大決闘」の時には核爆弾を察知したゴジラが大慌てで退避しています)
    地球上最強の生き物とはいえ、昭和の頃のゴジラには生身の生き物としての温かみを感じてますが、VSシリーズ以降の生物としては飛躍し過ぎてしまった平成時代のゴジラは、もはや神レベル・・・・・・(汗)。
    私としては「ゴジラ(1984)」のゴジラがあのまま生身の生き物として三原山で永遠の眠りについて欲しかったですが、平成という新時代がそれを許さずゴジラを神にしてしまったようですね・・・・・・(しんみり)。
    http://plaza.rakuten.co.jp/achachan

  3. たけG より:

    >>A-chanさん
    こんばんは。
    確かに、平成vsシリーズのゴジラはどんどん神がかっていきましたね。
    この84年版の時点で火山に落とされても、後の「vsビオランテ」でしっかり生存が確認されており、マグマなんてなんともなかったのでしょう。
    そんなゴジラに合わせるかのようにかつての敵や仲間だった怪獣たちもパワーアップ。
    モスラやラドンは飛び道具を実装し、キングギドラに至ってはメカ化してしまうという…
    最終的にはキングギドラどころか、オキシジェンデストロイヤーでも倒せないぐらいに強くなりすぎてしまったゴジラは自身の力を持て余し、自らの力で消滅してしまう最後を迎えることになります。
    確かにこのまま三原山のままで眠っていれば、バース島に行くこともなく静かに過ごすことが出来ていたのかもしれませんが…
    どっちにしたって未来人がいらんことしてベーリング海にワープさせちゃうんでしょうね(笑)

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