B’z「FRIENDSⅡ」大人なB’zの短編集はいかがです?

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今年もやります、冬に聴きたいB’zの名盤・名曲シリーズ。

今年のお題は大人な雰囲気たっぷりのミニアルバム「FRIENDSⅡ」

どーも、たけGです。

今年も冬がやってきました。

冬、そして12月。

何故だか毎年恒例になってしまった(してしまった)、B’zの冬の名盤・名曲を紹介するお話。

記念すべき(?)1年目の冬には名盤「FRIENDS」を紹介。

まさかここから毎年書くことになるなんて、我ながら想像さえしなかったなぁ。

2年目には冬の曲かどうかはわからないけど、冬っぽいなぁと感じる初期の名曲「ROSY」を紹介。

3年目にはアルバム未収録の名曲「結晶」を紹介。

先月末頃だったかな、2年も前に書いたこの記事が数日に渡って急激にアクセス数伸ばしてプチバズったのですが、もしかしてLIVE-FRIENDSで演ったのかな?

配信を楽しみにしてセットリストなどは調べてないのですが、そうだったのなら楽しみだなぁ。

4年目になる昨年は、「いつメリ」よりも前に出ていたハッピーなクリスマスソングの「HOLY NIGHTにくちづけを」を紹介。

あれから早くも1年。

今年の冬は5年目。

ってことは何かい?

このブログを書き始めて、もう5年になるのかい?

面倒くさがりで飽きっぽい僕がよく続いているものだ…

ひとえに読んでいただいている皆様のおかげです。

ありがとうございます。

それはさておき、5年目になる今年の冬は何を紹介しようかと思っていたら、今年2021年にまさかのあのアルバムの続編が発売されることに!

「FRIENDSⅢ」が!

「FRIENDSⅡ」からまさかの25年の時を経て送り出される最新作。

この情報を耳にした時はビックリでしたねぇ。

ならば今年の冬はこの「FRIENDSⅢ」の紹介か、とも考えますが、まだ語れるほども聴けてない、というか発売前に予約購入したのに何故か届いていない。

この出来事にまさかのAmazonの方からの返信があったのですが、それによると、予約購入であってもお急ぎ便を選択しておかないと発売日に届かないシステムだったとは…

知らなかった…

頼んますよホント…

まぁ届かない「FRIENDSⅢ」についてはまたいずれ描くとして、やっぱりそろそろあれについて書くしかないかもしれない。

5年目と区切りがいいわけだし。

2年目から引っ張りに引っ張った(誰も待ってないと思いますが)「FRIENDSⅡ」について書いていくとしましょうか。

前振りだけでも長くなってるのに、全曲について語ってるもんだからいつにも増して長い記事になってます。

全部読むと時間かかってしまうかもしれないのでご注意を!

まずこの「FRIENDSⅡ」の何がいいって、CDのジャケットがイイ!

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うーーーん、なんだかエロティック。

モデルの彼女の左足の位置が絶妙。

前作の「FRIENDS」もデザインは良かったけど、今作「FRIENDSⅡ」は、ジャケットそのものがブックレット仕様になっていて、それがイイんですよ。

なんて言うか、語弊を恐れずに言えばB’zらしからぬオシャレで、センスのいいジャケット。

ジャケットのみで順位付けするなら間違いなくB’zの全アルバムの中で1番ですね。

カバーだけでなく中身もいい。

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本をめくるようにジャケットと一体化したら歌詞カードをめくっていくと、これまたセンス抜群のフォトが。

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これ本当にB’zのアルバム⁉︎(失礼!)

B’zらしからぬのはジャケットデザインだけではありません。

曲も、歌詞も、稲葉さんの歌い方も、今までのB’zにはなかった雰囲気を醸し出しています。

1枚のCDを通して1本の映画を表現したような作品だった前作、「FRIENDS」に対して、今作「FRIENDSⅡ」は、同じテーマを抱えつつもそれぞれの曲が独立した、短編小説集のような作品になってます。

映画と小説というジャンルの違いからして、「Ⅱ」を名乗っているものの、前作とは全く雰囲気が異なっておりまして。

前作「FRIENDS」は1枚を通して、1組の男女の別れから再会、葛藤を経て再び別れるという切ないラブストーリーでしたが、流れる情景は非常に明るく美しい。

「いつかのメリークリスマス」や「恋じゃなくなる日」といった、キャッチーでポップな曲がセピア色だけども華やかな彩を添えて、それこそカップルで見ても楽しめる恋愛映画のような体裁をなしています。

対して今作「FRIENDSⅡ」は短編小説集。

小説とは基本、1人で読むものですが、キャッチーとは程遠いAOR調やファンク調の曲にレゲエの要素まで取り入れたりと非常にマニアック。

稲葉さんの歌い方もファルセットであったりと、本当に従来のB’zっぽくない。

その暗く、湿っぽい歌声やメロディーラインには前作のような華やかさは全然なく、どこまでも冷たくて暗い。

こじれた男女の関係も、前作のように美しい切なさを感じさせるような青っぽいものではなく、どこまでも艶っぽいアダルトな雰囲気を漂わせているんです。

とても面白いんだけども、恋人や友人などと内容についてなかなか語り合うのも難しいような小説と言いますか。

そんな妖しい大人な雰囲気を持つ今作、「FRIENDSⅡ」

1曲づつ、ページを捲るような感覚で聴いていってみるとしましょうか。


1.FriendsⅡ

オープニングは前作と同じインストゥルメンタル曲「Friends」ですが、オーケストラのようなストリングスで1つの物語の始まりを告げるようだった前作に比べて、今作はアコースティックギター中心の非常に寂しく、物悲しい印象でスタート。

同じ曲なのにこんなの違うの?という感じ。

始まりを告げるというより、すでにいきなり終わりを告げられているかのようなメロディで幕を開けます。

映画じゃなくて小説なんだから、幕を開けるというより、ページをめくるといった方が相応しいかな。

小説とかで、あとがきから読む人っているじゃないですか。

いきなりあとがきから読むような、そんなイメージが近いかもしれません。


2.SNOW

バラードベストの「Ballads」にも収録された曲で、ライブでも何度か演奏されているそう。

オープニングナンバーなので、このアルバムの顔のような曲ですが、前作の「いつかのメリークリスマス」と比べると、とても重くて、暗くて、そして冷たい。

まさにSNOW(雪)

物語の主人公は、恋人と別れた、それもフラれた男。

寒く、暗い部屋で後悔してもしきれない後悔を繰り返している情景が描かれます。

過ぎた過去を思う"回想"という点では、前作の「いつかのメリークリスマス」と同様ですが、「いつメリ」の主人公である彼は、彼女との温かかったクリスマスを思っているのに対して、「SNOW」の彼は彼女と別れたことで深く深く落ち込んでしまい、後悔ばかりしてしまっているかのよう。

あの時どうして、嘘をつかなかったのだろう

偽りばかりで暮らしていたはずなのに

おそらくはこの一節に彼女と別れた(フラれた)原因がありますね。

多分彼は浮気をしていたんじゃないかな。

彼女の事だけを愛しているとか言いながら。

そんな偽りばかりの生活の中の不義を彼女に知られてしまった。

浮気していることを突き付けられて、彼は認めてしまったんでしょうね。

認めたうえで


馬鹿いってんじゃないよ お前の事だけは

一日たりとも忘れたことなどなかった俺だぜ

とか、

 男はそれなりに浮気もするけど本気になれない可愛いもんだぜ

とか言っちゃったんでしょうか。

で結局、両手をついてあやまったって許してあげない、と

彼女は荷物をまとめて涙も見せずに旅だったのでしょうね。


手放した鳥は2度と帰ってこない

現実をつきつけられた彼は静かで暗い部屋の中、たばこの灯りだけでそれでもドアをノックする音を待ち続けているのでしょうか。


踊れ 雪よ やまないで今は

溜息を優しく吸い込んで

つもれ この世の悲しみを全部

深く 深く埋めてしまえ

稲葉さんのファルセットが、主人公である彼の悲しみと後悔の深さを際立たせてます。

「いつかのメリークリスマス」の彼は、1人でも部屋の暖房や灯りはつけていたようなイメージでしたが、「SNOW」の彼は、絶対に灯りどころか暖房も入れてないな。


3.傷心

このアルバムで1番B’zらしく、キャッチーなのはこの曲ですね。

確か当時、クイズ番組か何かのテーマ曲で使われていたような。

聴きやすさでは間違いなく1番で、マニアックすぎる「SNOW」のあとでこれだと安心感さえ覚えるでしょう。

ですが、歌詞を読んでいくと、「SNOW」の彼とはまた別ベクトルの、ヤバい心情の持ち主な主人公。

「傷心」というタイトルからして、やっぱり彼女と別れて(フラれて)傷ついている男なのかと思えば…

過去の出来事で傷ついているのは間違いないけど、この彼は、物語に登場する「君」から好意を持たれて言い寄られている、とても羨ましい状況にあります。

なのにその彼女の好意を拒絶するような様子がうかがえます。

おそらくは過去の手痛い失恋経験から恋愛恐怖症、どころか対人恐怖症に近い状況に陥ってしまっているのですよ彼は。


ちかよらないでおくれ もう痛いのはごめんだ

壊れるようなものにもう手は出さない

好意を寄せてくれる彼女に対して明らかな拒絶反応。

どんなに好意を寄せてくれても、いつかはその好意も愛も壊れてしまうんだよ!

と、かなりの重症。

僕だったら、ホイホイ彼女の好意を受け入れてしまうことでしょう。


求め合い過ぎるのが人情

花火のようにはじけ散って後遺症

人情で互いが互いを求め合っても、どうせそれもはじけ散って残るのは痛くて悲しい思いだけ。


こんなに悲しいのなら…こんなに苦しいのなら…


愛などいらぬ!

まさに聖帝様の心情を歌っているかのような歌詞ですが、彼女はよっぽど彼のことが好きなのでしょう。

ユリアが鬼のフドウに接した時のように微笑んで接してくるのです。

過去の失恋で傷ついているのなら、その傷を癒しましょうと言わんばかりに。


さわるななめるな どこにも傷なんてない

拒絶する彼。


面倒くさい事情に巻き込まないでくれ。

よっぽどの手痛い失恋を経験したのでしょうね。

最愛の彼女を親友にかっさらわれたか。

例えるならユリアはシンによってむりやり連れていかれましたが、実はそうではなくユリアとシンはもともと深い関係にあって、すべてが嘘、ケンシロウがそれに気づいてしまったぐらいの。


俺の7つの傷は、なんでつけられたん⁉
みたいな。

でもこの彼女は諦めない!

彼女の優しさに押され始める彼。


優しくしないでこれ以上はどうかお願い

あの日のように自分がわからなくなるよ


これ以上優しくされたら、惚れてまうやろーーーー!

ぐらいにまで行ってますね。

それでも、傷つくことを、いずれ壊れてしまう関係を恐れている彼。

おそらく、おそらくですが、この「傷心」というタイトル。


「小心」
のダブルミーニングではないかと。


4.「BABY MOON」

ジャジーで、かつボサノヴァっぽいメロディーラインも相まって、このアルバムで一番アダルトな雰囲気を漂わせる一曲。

都会の大人の恋を歌った一曲のようですが、歌詞を読み解くと必ずしも恋愛関係にある男女、とも言い切れなさそうです。

間違いなく、この曲の主人公である彼は「君」が好きですね。

何度も何度も電話して、でもいい加減受話器を置いてでかけよう。

どこへ?

さみしい首都高、ということは間違いなく深夜0時は過ぎた首都高ですね。

悪魔のZや湾岸の帝王ブラックバードが狙って出てくる一般車の少ない時間帯。

(こんな例えが通用するのかなぁ)

そんな首都高を走ってめざしたのは君のもと。


いやいやでも、仕方なしでも部屋に入れて

他にはもう行く所も特にない

とにかくゴネて、我儘言って、スネて、甘えて、なんとか君の部屋に入れてもらえたのでしょうね。

それで部屋に入れてくれたということは、少なからず、君も主人公の事は嫌いではないと。

そんな君は、グラスに入れたアイスレモンティーを飲んでいる。


大人びたアイスレモンティー

この、大人びたという表現。

そして、


教えてこの関係どう思う?

青少年なこの気持ち弄べよ

のフレーズ。

想像するに主人公である彼は20歳前後の、免許はとってるけども少年臭さの抜けない、青年になりきれない青少年。

大人びたアイスレモンティーを飲んでいる君は、きっと年上な大人の女性なのでしょう。

上司と部下?

教師と生徒?

真夜中に訪問して、家に招き入れるだけあって、ある程度は親しい間柄だと思われます。


I’m BABY MOON

自分は月、それも赤ん坊のようなベイビームーン


You’re the SUN

君は太陽

地球から見る月の輝きは、太陽の光を浴びてのもの。

太陽の光を浴びない月はまさに灰色の石の塊のよう。

君の光を浴びないと、僕は石になってしまう

それだけ年上の女性である君に恋い焦がれる樸


ああどうでもいい いっそ始めてしまおう

年下の彼のアプローチを大人な対応でかわしているのでしょうかね。

なかなか自分を受け入れる素振りを見せない君に対して、いっそ始めてしまおうと自分から行動に移そうという彼。


ねぇギクシャクしてみよう

その後でギクシャクした関係になることも予想しながら、というところでしょうか。

真夜中の一室、2人きりの年上の女と年下の男。

その夜の出来事は頼りないオレンジ色の月のみぞ知る、というところでしょうかね。


5.sasanqua〜冬の陽

インストゥルメンタル曲。

意外にもこのアルバムの中で、ファンの方が耳にする機会が一番多い曲は実はこの曲かもしれない。

と言うのも、松本さんのアルバム「House of Strings」と、「Strings Of My Soul」にも収録されているのですよね。

そんな、松本さんの泣きのギターが全開の一曲ですが、全編を通してロックというよりも、フュージョンやジャズっぽい大人な印象。

イメージとしては、少し曇りがかった空から陽が差し込むぐらいの冬の空の下を歩いている恋人達が思い浮かびます。

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この歌詞カードのページがまたイイんだ!

聴くならオシャレでどこかレトロなカフェのオープンテラスで、少し寒くても体を寄せ合いながら珈琲を飲んでいるのが似合いそう。

うちの奥さんは絶対に付き合ってくれないでしょうけど。


6.ある密かな恋

メロディーラインは前曲の「sasanqua〜冬の陽」から引き継ぐ形で、フュージョンやジャズを連想させて非常にオシャレ。

オシャレな冬の曲というイメージがまさにピッタリなのですが、問題は歌詞。

この物語の主人公はヤバい。

「SNOW」や「傷心」の主人公とはこれまた別方向でヤバい奴ですが、先の2人が可愛く思えるほどこの彼はヤバい。


夢の中でまた君とつきあえた

なんだかとても楽しそうに待ち合わせ

歌い出しだけ聴くと、あぁ好きな女の子がいるのね。

片思いしてるんだね、と思ってしまいます。


だれにも話せないねこんな恥ずかしい話

いつになってもこの思い伝わることはない

まぁ誰にだって同じような経験あると思いますよ。

密かに恋してる、でも告白できないあの子と付き合っている夢を見る。

友達や家族に話せるわけないですよね、そんなこと。

「恋心〜KOIーGOKORO〜」の主人公にも通ずるような甘酸っぱい、ちょっと恥ずかしい思春期の恋愛事情にも通ずるものがありますが、サビの最後まで聴くと…


雑誌で君をまた見つけた


…え?

雑誌で?

そう、彼が恋しているのはグラビアの中の芸能人。

雑誌やテレビの中で見る彼女に恋をしてるんです。

ま、ままま、まぁ、誰にだってそういうこともありますわな。

メディアの中の芸能人と恋をする妄想。

いやまぁどちらかというと、本人と付き合うというより、深キョンやaikoちゃんみたいな子と付き合えたらとか、結婚生活を送れたら…ぐらいの気持ちだとは思いますが。

ですが、この彼のヤバさは本物で。


君が僕を誘惑するのは無意識じゃない

わかってやっているに決まってる

雑誌のグラビアではカメラ目線で誘惑するようなポーズや、キスをせがむような表情で撮ること多いですよね。

それを見てこれですよ。

この表情はグラビア撮影でありながら、意識的に俺を誘惑してるんだろう?

と思い込んじゃってるわけですよ。

怖ぇ〜


彼女に話せるわけない こんなヤバい気持ちを


彼女いるんかーーーい!

付き合っている彼女がいるのに、こんなストーカーじみた心情抱えているわけですよ。

ソファで隣に彼女が座っている時に雑誌を見ながら、ヤバい気持ちを抱えているかもしれないわけですよ。

それに自分でヤバい気持ちだってわかっているんですよ。

なのに


君を想ってこの後ずっと生きていこう

と、自分で自分に宣言しちゃってるんですよ。

ヤバいなぁ、彼。

でも、この曲も歌詞も大好きな僕も、ヤバいのかもなぁ。


7.きみをつれて

個人的にはこのアルバムの中で1番好きな曲。

B’zの全曲の中でもかなり好きな方の1曲です。

まずメロディーラインは非常に美しく、切ない。

全体的にサックスやピアノをフューチャーしたジャズを意識した曲調ですが、レゲエっぽさも取り入れているB’zでは珍しい(このアルバム自体がそうなのですが)構成のバラードナンバーです。

歌詞がまた良い。

切ない。

他の曲の主人公たちのようなヤバさはないのですが。

いや、実際のところ十分にヤバいことやってるんでしょうが、他の曲の彼らが強烈すぎて普通に思えるからアラ不思議。

おそらくはこの曲の主人公、不倫してます。

それも結構な長い期間に渡って。


君と知り合いになってから かなりの時間が過ぎた

ここだけ聴くと、長く付き合っている恋人同士の歌かと思いきや、


禁断の果実をむさぼる暮らし 長くはもたないね

禁断の果実をむさぼる、つまりは許されない恋=不倫を連想させるんですよね、このフレーズが。

そしてサビでは


行ってみたいよ 君をつれて 名前のない場所に

名前のない場所、どこかはわからないけれど、ここではないどこかへ君を連れていきたい。

想像ですが、禁断の関係が終わろうとしているんじゃないでしょうかね。

周りにバレるなどして、望む望まないに関わらず、終わらせざるをえない事情になっているのかもしれません。

そんな暮らしは長くは持たないと歌っているあたり、どうもこの関係が周りにバレているんじゃないか?

そんな心境になっているのかもしれません。

だからこそ、ここではないどこかへ君を連れていきたいと言っている。

うん、なんだか既に斎藤工と上戸彩の2人の顔がちらついている。

そして2番では


いいかいこれは繰り返しじゃない だから臆病にはなるな


人は過去に学び前に進むはずだ

 と諭しています。

これは別れに際して彼女に対して言っているのかと思いきや、


自分に言い聞かせて また転がろう

自分で自分に対して言ってるんですね。

人は過去に学び、前に進むとは何を意味するのか。

過ちを認めて、お互いそれぞれ新たな道を進んでいこうともとれますが、一方で、また転がろうとも言っています。

繰り返しじゃないと言いつつ、結局また同じ関係を繰り返そうとしている。

これは今までとは違う新しい一歩だと、言い訳めいているようにも聞こえますよね。

そして、


行ってみたいよ 君を連れて カバンも持たずに

言葉も知らない異国の路地裏で迷子になってみる

とても綺麗なフレーズですが、これまでの流れを考えると、自分たちのことを知らない異国の地まで行きたいと、いわば追い詰められている様子にも聞こえてしまいます。

周りにはみんな知れ渡ってしまっている。

誰も知らない異国の地で、改めてやり直そう。

繰り返しじゃなく、はじまりとして。

そうして僕は君に話し合いを持ちかけるんですね。


明日はどうなるかわからない世界 それはわかってる

でも思い切って 僕たちの未来を話してみよう

僕たちの未来、どのような未来を指し示しているのでしょうか。

もう別れるしかない、それぞれ別の、交わらない道を歩む未来なのか

それとも2人とも何もかも捨てて、どこかへ、ここではないどこかへ行ってしまおうか

そんな未来なのでしょうか。


もう一度だけ 君をつれて旅をしてみたい

おそらく何度か2人で旅をしてきているのでしょうね。

自分たちを知る人のいない場所で、隠れ合う必要もなかった旅路。

それが今では、お互いの恋人なり、配偶者なり、または友人や家族に2人の関係がバレてしまっているのでしょう。

今の環境では関係を続ける事が難しく、別れるしかない。

だからこそ、誰も知らないどこかへ君を連れて行きたい。

そんな心情を歌った曲なのもしれません。

いろんな人を傷つけながら罪を重ねてきた2人。

どのような選択を選んだとしても、2人で幸せになれる結末はあろうはずがない。

そんなエンドを示すようなアウトロが実に切ない。

本当に1つの短編小説を読んでいるかのような、切なくて儚い、許されない恋なのに美しさを感じる名曲です。

稲葉さん、詩人だなぁ。

今回は毎年冬恒例のB’zの冬の名曲、名盤紹介ということで、「FRIENDSⅡ」について語ってみました。

長々と一通り語ってみましたがどうでしょう。

全編を通して冬をテーマにした1つの物語を紡いでいた前作と違って、冬をテーマにしながらも1曲1曲の物語が独立した短編集のような趣の構成であることがわかるかと思います。

それも読み解いていけば、どの曲も大人なメロディで彩られながら、どれも少しヤバめな男の心情を描いているんですね。

激しい後悔に深く深く落ち込んでいる「SNOW」

傷つくことに恐れて人と関わることを拒絶している「傷心」

年上の女性に恋して暴走してしまいそうな「BABY MOON」

あまりに濃い男たちの心情の合間をぬって、冬の恋人たちの情景を描くようなインストゥルメンタル曲「sasanqua〜冬の陽」

メディアの世界の彼女に恋するストーカーじみた男の思いを歌い上げた「ある密かな恋」

決して許されぬ禁断の恋に溺れてしまった「きみをつれて」

それぞれが独特の物語を描いていて、独立しているのがよくわかります。

前後の主人公と、その彼が想う君には、前作のような繋がりはないようですが、一方でそれぞれの物語が前作「FRIENDS」のその後の物語であり、いろんなその後を指し示していると考えたらちょっと面白いかも。

「FRIENDS」で、どうしても君を失いたくない、と思いながらも、君と別れてしまった僕。

その後の僕は、そして君はどうなったのか。

様々なifからその後の物語を連想してみると…

君に去られたその後で、僕が失ったものの大きさに気づいて後悔してもしきれない「SNOW」

君と別れたあとの悲しみに暮れて、僕はもう恋なんてしないとか思ってしまっている「傷心」

僕と君、別れた後の冬の日に、2人がすれ違うのだけども気づかない、もしくは気づかないフリをするインストゥルメンタル曲「sasanqua~冬の陽」

あの日別れた君がグラビアに出ていることを知って、新しい彼女がいるにも関わらず、僕がかつて愛し合った君と再び妄想の中の恋に落ちる「ある密かな恋」(この連想が一番面白い)

僕と君が別れた後で、お互いそれぞれ別のパートナーがいるにも関わらず、再会した後で禁断の恋を燃え上がらせてしまった「きみをつれて」(歌いだしが、君と知り合いになってからかなりの時間が過ぎた、というのもなんだか匂わせっぽく聴こえる)

それぞれが「FRIENDS」の物語の僕(と君)の、その後を様々な角度で描いているのでは?なんて想像もしてしまうんですよね。

あ、「BABY MOON」がないとお気づきの方もおられるでしょうか。

「BABY MOON」の主人公の僕は、「FRIENDS」の僕とどうにも重ならないんですよねぇ。

一方で考えてみれば、「BABY MOON」は「FRIENDS」における君のその後の物語ではないのかと思ったりして。

「FRIENDS」の僕と別れたあとの君に恋した、若い男の物語みたいな。

まぁあくまで個人的な妄想です。

言ってしまえば、「ある密かな恋」の主人公にも通ずる妄想ですね。

捉え方は人それぞれ。

こんな楽しみ方が出来るのも音楽の素敵なところです。

今回はこの辺で。

いつかまたここで、

そしてこのテーマについては来年の冬に会いましょう。

せーの、おつかれー!

FRIENDS II
B’z
1996-11-25




FRIENDS
B’z
1992-12-09



コメント

  1. Tuyoポン より:

    たけGさん、お久です。
    今年もこの季節がやってきましたね。
    相変わらず素敵なアルバムコメント・・・(´▽`)はぁぁ・・♪(うっとり)
    熱烈なB’z愛があるからこその内容ですね。
    今、Ⅱを聴きながら書込みしています。
    やっぱ12月はFRIENDSを聴きながら締めくくるのが最高ですね!
    通勤の電車の中で繰り返し聴いて、家に帰ってからも聴きながらネットサーフするのが至高の時間です。
    FRIENDSⅢについては、Amazonで色々なレビューがされているようですが、感じ方は人それぞれですね。
    私はたけGさんのレビューを見てから購入するかどうか決めようと思ってます・・・が、
    初回限定盤は早く買わないと無くなってしまいそうですね(笑)

  2. たけG より:

    >Tuyoポンさん
    お久しぶりです!
    お元気でしたか?だいぶ寒くなってきましたね。
    いやぁ、いつもいつもお褒めの言葉、ありがとうございます^^
    今回はちょっと長くしすぎてまとまりなかったかなぁと反省していたので嬉しいです。
    FRIENDSⅢのレビュー…はあああぁぁ〜^^;
    初回感想ぐらいは書くかもしれませんが、本格的なレビューはいつになるか分かりませぬ…
    でも、良し悪しで言えば間違いなくいいアルバムなので、ここ最近はずっとヘビロテしています。
    細かいレビューについては他の方のレビューの方が参考になるかもですね(笑)

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