「シン・ゴジラ」未知の脅威に対し、人々はどう立ち向かうのか。

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こんなゴジラが出てくるゴジラ映画を長く待っていました。

どーも、たけGです。

今さらながら、僕はゴジラが大好きです。

僕と同じ、40〜50代の男性でゴジラ好きな方は多いのではないでしょうか。

僕の子供の頃は、よくゴジラ映画がテレビでやってました。

ウルトラマン、仮面ライダーといった特撮の全盛期に幼少期を過ごしていたのです。

僕が物心ついた時に初めてテレビで出会ったゴジラは、シェーをしたり空を飛んだり吹き出しつきでおしゃべりしたりする、正義の味方のゴジラでした。

その頃すでに劇場版のゴジラシリーズは休眠の時期に入っており、ゴジラを見るならテレビという時代だったのですね。

子供向けの放映を重視していたのか、あの頃のテレビ放映では、ゴジラが脅威だった初期4作の放映はあまりなかったように記憶しています。

(あと「ゴジラ対ヘドラ」も放映がなかったような記憶があるなぁ)

ゴジラが水爆実験により生まれた怪獣で、人類にとっては撃退する対象であると知ったのは親に買ってもらった『ゴジラ大百科』みたいな感じの本を読んだ時だったんじゃないかな。

ビデオが一般的ではなかった当時、初期のゴジラを見るのは、テレビで放映してくれない限り、不可能に近かったのです。

映画館でリバイバル上映なども行なっていたとは思いますが、映画館のある街中に住んでいなかった子供にとって映画館で映画を見るということを行うのは容易ではなかったのですよ。

国会議事堂を見下ろす、白黒のゴジラ。

子供の味方ではない、人類の脅威のゴジラ。

ネットもない、ビデオも一般的でない、あの時代では、そんなゴジラたちは高嶺すぎる花でした。

そんなある時、ゴジラは復活します。

1984年、それまで休眠していたゴジラシリーズ最新作が上映されました。

それも、子供の味方ではなく、人類の脅威、水爆大怪獣としての復活です。

その時の僕は小学生の高学年ぐらいだったでしょうか。

親にねだってお願いして、家族4人で観に行きました。
現在改めて調べてみると、どうにも評判はあまり良くないようですが、あの頃の僕はとても興奮し、楽しんで観る事が出来ましたねぇ。

記事にも書いていますが、個人的には今でも好きな作品です。

初めて観る、動く怖いゴジラ。

これまではちょっとお茶目で、カッコいいヒーローとしてのゴジラしか動いているのを見たことがなかったので、生まれて初めて目にした、大スクリーンでの怖いゴジラでした。

そして、その当時の日本は7年ぶりに復活するゴジラで熱狂していました。

あの熱さは、現在のシン・ゴジラや、ハリウッド版のゴジラ上映時にも比にならないブームが日本に巻き起こっていたように覚えています。

ロボットのゴジラや、等身大のゴジラの足が撮影に使われてたんですよ。

CGが当たり前の今では、「は?」とか思われるかもしれませんが、当時は雑誌でその情報を見ただけで「すげーっ!」って思ったもんです。

ハリウッドのスターウォーズを超えたとか、真面目に思ってましたよ。

改めて見ると、どうにもそこまではないことが見てとれますが。

その後、ゴジラシリーズが公開される度、劇場に足を運びました。

ハリウッド版2作を含め、ゴジラ映画は必ず映画館で見てきました。

とっとこハム太郎と同時上映となり、周りは小さな子供だらけみたいなことになっても、おっさん1人で観に行ってましたよ。

そして時は流れて今回のお題、「シン・ゴジラ」

この作品は、劇場に2度、足を運んで鑑賞しました。

ゴジラ好きの僕でも劇場で2回見たのは、実は今作が初めて。

「vs.ビオランテ」も2回観たかったのですが、当時まだ子供だった僕には映画館に足を運んでリピートすることは難しいミッションでしたしね。

以降の作品も2回目を見たいと思えるものも多かったのですが、まぁビデオでいいかぁぐらいで思えてましたので、もう一度、劇場で最初から見たい!って思ったのは、ホント、個人的フェイバリット作品「vs.ビオランテ」以来だと言えます。

それだけ今作は評判に違わない、非常に面白いゴジラ映画でした。

個人的には非常に満足。

時間とお金が許せば、3回目の劇場での鑑賞もあったかもしれません。

今作の何が良かったかと言うとですね、全てが良かった!とも言えるんですけど、何よりも第2作「ゴジラの逆襲」以降引きずってきた、初代ゴジラの呪縛を初めて振り切ったゴジラ映画だと僕は思ったんです。

初代ゴジラ以降、ゴジラ映画の世界観は何度かリセットされてます。

僕が子供の頃に見た、子供の味方のゴジラが、84年度版では何故また人類の脅威となって現れたのか?

それは、それまでのシリーズを無かったことにして、新たなシリーズとしてリスタートしたからなのです。

キングギドラやガイガンと戦い、地球を守ったゴジラを、いったん無かったことにしたんですね。

この新シリーズは、「vsデストロイア」で終了しますが、その後の新作「2000ミレニアム」で、またもや世界観をリセットして再開します。

そこから続いたミレニアムシリーズは、「xメカゴジラ」2作を除いて新作の都度、世界観をリセットしたゴジラ映画でした。

このように幾度もリセットされ、製作されたゴジラ映画でしたが、そこには常に1つのルールが存在していました。

それは、世界観はリセットされてもリセットされたのは常に2作目以降の世界観であって、新たなシリーズは、どれも初代ゴジラに続く2匹目のゴジラの物語であったのです。

「xメガギラス」はほんの少しその辺に手を加え、初代のゴジラがオキシジェンデストロイヤーで死んでいなかった世界を描いていましたが、それでもそれは既にゴジラという怪獣が当たり前に存在している世界。

要するに、初代以外のゴジラ映画は、『ゴジラという存在がいる(いた)ことが当たり前となっている世界』であり、ゴジラが出現すると、それは未知への恐怖ではなく、想像出来うる天災への対策が主となる物語でした。

ゴジラが出現すると「(あの)ゴジラが現れた!対策を!」となるわけです。

ゴジラに対抗するための組織が存在し、ゴジラを撃退するための空中要塞だったり、ブラックホールを発生して別次元へゴジラを吹っ飛ばす次元砲だったり、果ては初代ゴジラの骨を基に作られた巨大ロボットだったりといったトンデモ兵器が存在することが別に不思議じゃない、それが当たり前の世界であり、世界観がリセットされてもそこは、ゴジラいつでも出てこいや!な世界なのです。

初代ゴジラありきの新作のルール。

それは、初代ゴジラの呪縛でもあったのかもしれません。

ゴジラ映画を見続けるうち、いつしか僕は全くのゼロからのゴジラ映画の新作を見たいと思うようになりました。

怪獣やウルトラマンなんて映画やテレビの中以外に存在するわけもない、普通の、現代の日本に現れる、あり得ない巨大生物。

その脅威、その恐怖に対して人類はどう対抗するのか。
ローランド・エメリッヒ監督のハリウッド版第1作は、予告編の段階ではそれらしくて、すっごい期待したんですけどねえ…

最新作の「シン・ゴジラ」は、その呪縛をようやく振り切り、未確認巨大生物が日本に上陸する、という設定がまず良かったです。

「街を破壊して歩き、火を噴くようなそんな生物、いるわけないだろ!」な世界ですよ。

当然、ゴジラがいるわけないので、自衛隊はスーパーXも一式機龍も保有しておらず、ゴジラ映画の名物兵器のメーサー砲もありません。

Gフォースなんて、どこの科学特捜隊?みたいな組織も存在しない世界で、日本政府が未知の巨大生物に対抗するのです。

海に突如出現した、巨大な尻尾に恐れ慄く人々。

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「な、何だアレは!」

この一言で、今作が従来の「ゴジラ」ではないことを確信させてくれました。

これこれ!

この展開をずっと見たかったんだ!

初見の時に心の中で叫んでましたね。

初代ゴジラの呪縛は振り切った、と書きましたが、過去作へのオマージュは随所に見られました。

大戸島の呉爾羅伝承は、もちろん初代へのオマージュでしょう。

牧教授の思いも、初代の芹沢博士の思いに通ずるものがあったと思います。

(ちなみにフルネームの牧悟郎も、シリーズのある登場人物と同名というのも偶然ではないと思います。今作の一人ひとりの登場人物の名前を追っていけば、いろんなお遊びが見つかるかもしれませんね)

一方で、日本政府の対応は84年版ゴジラとは対照的でした。

84年版の政府はゴジラにも諸外国にも毅然として対応し、ゴジラに対する核攻撃にもNo!と突っぱねてました。

強きニッポンの姿をそこに描いていたのです。

対して、シンゴジラの日本政府は未知の生物とはいえゴジラへの対応に四苦八苦から右往左往、諸外国への対応に五里霧中の中での四面楚歌、核攻撃の決定に対してもNo‼︎と言えない弱腰のニッポンの姿が描かれていました。

竹野内豊演ずる、赤坂官房長官代理のセリフ、


「彼らはニューヨークにゴジラが現れても、同じ選択をするそうだ」

これは84年版の小林桂樹演ずる三田村総理の


「あなたがたの国にゴジラが現れても、同じ選択が出来ますか」

と、米ソに伝えて核攻撃を思い留まらせたというシーンに対するアンサーなのでしょう。

今作の世間の評判はとても良く、僕の中でも今まで観てきたゴジラ映画の中でもかなり上位にランクインする完成度だと思っています。

やはり待ちに待った、初代までもリセットしたゼロからのゴジラ映画というのが1番の評価ポイントでしたね。


ゴジラ映画はかくあるべき
という従来のお約束みたいなものも壊しつつ、どこかの巨大イグアナ怪獣と違って、ちゃんとゴジラとして成立しているのが、またいいですね!
今作のゴジラの無機質さは、今までのゴジラと違う不気味さがありました。

最初の形態で現れた時には、ゴジラに対する新怪獣か!とか思いましたが、

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まさかの形態進化とは意表をつかれました。
物語は政治家視点で進行し、ありえない巨大生物へどう対抗するかという緊迫感や焦燥感が常に出ており、ダレることなく追うことが出来ました。

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劇場で2回見た後も、DVDで、テレビ放映で、そしてAmzonプライム・ビデオでと、何度も繰り返し視聴してきましたが、その感想は変わらない名作であると断言できます。

だからと言って、満点の映画かと言えば、決してそうとは言えず、気になる点も多々ありました。

それは主にビジュアル面においてですね。

まずは今作と従来作の最大の違いは、今回のゴジラでは着ぐるみやミニチュアを使用する従来の方法ではなく、CGで表現する手法を日本のゴジラ映画として初めて採っていました。

全編を観て、日本映画でも、ここまで出来るんだと感心すらしたものですが、同時に今の日本映画では、これが限界かなと感じることもまたありました。

特にゴジラが夜の都内中心部で大暴れし、放射能熱線でかなりの広範囲を破壊、火の海と化すのですが、

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その後、ゴジラが活動を一時停止した東京駅周辺に、ゴジラの足元以外に破壊の痕跡が見られないのに少し違和感を感じたのです。

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正直、東京の地理には詳しくないので、ゴジラが大暴れした地域から東京駅まで結構な距離があるのかも知れず、その長い距離を移動する間にゴジラが落ち着いていったとも解釈できるかもしれないですが、それでも、あの巨体が歩いてきたわけですよ。

ゴジラが休憩した周囲のビル1つも倒壊しないものかいな、と思っちゃいました。

エンディングで、主人公が見つめる景色にもカタストロフィの痕がそこまで見られず、ゴジラのオブジェが少しばっかりの破壊の痕跡が見える東京の街中に建っているようにしか見えなかったのも残念でした。

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これまでのゴジラ映画では緻密なミニチュアセットで廃墟を作り上げてきたのですが、今作でフルCGでの怪獣映画製作にチャレンジした結果、技術力が一歩及ばなかったのかもしれません。(もしくは資金力?)

ギャレス・エドワーズのGODZILLAは、その辺さすがハリウッドでしたね。

アメリカの大都市を破壊しながらバトルするGODZILLA!

ちょっとその大バトルの映像が暗すぎて見づらいので、今となっては続編の方がオススメだし、どうにもアレはゴジラというよりもガメラの方がしっくりくるような設定の大怪獣ではありましたが、あれぐらいの迫力の映像技術で日本のゴジラをいつか見てみたいもんです。

東宝とハリウッドの共同で作ってくれないかしら・・・

もうひとつ、気になったのは今回のシンゴジラ、

日本に上陸した未確認巨大生物の“脅威”はよく描かれていたと思いますが、日常に暮らす人々にとって未知の存在に対する“恐怖”は薄かったように思います。

ゴジラに相対する日本政府を主軸に置いていたので仕方がないとは思いますが、思えば“脅威”と“恐怖”の2つを両立させていたのが、初代ゴジラであり、だからこそ今でも至高の名作と呼ばれている所以でしょう。

またいつか、初代をリセットした新作が作られたなら、未知の存在に対する恐怖も盛り込んだ、パニックムービーとしてのゴジラも見てみたい気がします。

それでもやっぱり、今回、改めてAmazonプライムビデオで何度目かの視聴をしたんですが、やっぱり面白い!

何と言ってもクライマックス、怪獣大戦争マーチをバックに繰り広げられるヤシオリ作戦の展開は何度見ても鳥肌立つくらいに見入ってしまいます。

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これまでのゴジラ映画ではゴジラに掴まれたり咥えられたりするだけのやられ役だった新幹線がゴジラへ突っ込んで足元から崩すことからはじまるヤシオリ作戦!

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新幹線だけではありません。

自衛隊や米軍の戦力とともに、「どんどん出てこい働くくるま〜」とばかりに重機がゴジラへ向かっていきます。

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とどめを刺すのはスーパーXでもメカゴジラでも、禁断のオキシジェン・デストロイヤーでもなく、建設重機なのです。

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政治家だけでなく、自衛隊員だけでもなく、まさに官民一体となって巨大な未知の脅威へ立ち向かうその姿勢。
これまでにない未曾有の危機に晒されている今の時代に見ると、こんな時には一人一人が出来ることでこの脅威に立ち向かっていけば、どんなことにだって打ち勝てるんじゃないかと、そう思うのです。

僕に出来ることは、不要の外出は避けて外部との接触を控えることで自身や家族が感染しないようにすることぐらいですが、それこそがまさに僕ら1人1人が出来る戦いではないでしょうか。

今作を今、この時に、この「シン・ゴジラ」を視聴してみて、改めてそう思うのです。
みんなで力を合わせて、この危機を乗り越えましょう!

最後はこのブログらしく締めたいと思いますが…

今作は歴代ゴジラシリーズで初めて、初代の呪縛を振り切ったと何度も書きましたが、庵野監督はエヴァの呪縛を振り切れていなかったような気もします。

ま、随所に見られたエヴァっぽさは、今作に合っていて、とても良かったですけどね。

庵野監督、続編作るのかな。「シン・ゴジラの逆襲」とかで、使徒っぽい新怪獣、例えばシン・アンギラスあたりとバトルしたりするのかな・・・

いや、ないな。

シン・ゴジラ
大杉漣
2017-03-22



シン・ゴジラ DVD2枚組
東宝
2017-03-22


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