賛否両論渦巻く「真・女神転生Ⅳ」の良いところと悪いところと、擁護できないところと。
どーも、たけGです。
昨年まともにクリアしたゲーム。
「真・女神転生Ⅳ FINAL」
メガテンシリーズのナンバリングタイトルは一通りクリアしてきています。
今回は現時点での最新作に当たる「Ⅳ FINAL」の話をする前に、前作に当たる無印のⅣの話をしようと思います。
「真Ⅰ」から「真Ⅱ」は物語、世界観が繋がっていました。
「真Ⅱ」の後に発売された外伝の「真if…」も世界観を共有していました。
「真Ⅲ」で一旦世界観をリセット。
その後発売された「ストレンジジャーニー」もリセットされていました。
そして今作の「真Ⅳ」は「真Ⅰ」→「Ⅱ」や「SJ」と世界観を一部共有しているような描写も見られましたが、物語は地続きではないようです。
再びリセットしてのスタートですね。
グレゴリ歴1492年。東のミカド国に・・・
で始まる真Ⅳの物語。
外伝を除き基本的にナンバリングの物語は「東京」が舞台になっているので、最初のこの導入に関しては意表を突かれました。
「こんなのメガテン(のナンバリング)じゃねぇぇぇぇ!」
基本的にプレイするゲームの情報は封印して事前には目にしないでからスタートすることを常にしているので、その後の展開を知らない故での最初の感想でした。
でも、この「真Ⅳ」。
プレイ後にいろんなとこで評価やレビューを目にしましたが賛否両論渦巻いてますね。
どちらかと言うと否の方が多いようです。
酷評されていることもあるようでした。
それらの評価を踏まえた上で感想を述べたいと思います。
出来るだけ重要なネタバレをしないように語りたいとは思いますが・・・。
うっかり書いてしまっている可能性もあるので、その辺はご容赦ください。
ちなみに個人的には「真Ⅳ」は楽しめました。
好きか嫌いかで言えば好きな作品です。
もちろん否定的な部分もあります。
その上での感想です。
一新された世界観。
やがては東京に繋がるのですが、導入部はメガテンとは思えないファンタジーな世界観。
ナンバリングではなく「ラストバイブル」の新作なのでは⁉︎
なんて思ってしまったぐらいです。(携帯機だしね)
まぁこの世界観はありと言えばありかな。
東のミカド国と東京の繋がり、時間軸。
最初の頃はキチジョージ村なんて地名や、かつての文明品が遺物として扱われているなど「真Ⅱ」あたりから1000年近く経った世界なのかも⁉︎
なんて期待したりもしたのですが…
まったくそんな事はありませんでしたね!
その2つの世界の関係性が判明した頃には、かなりの齟齬があってモヤモヤさせられたものです。
一方でキャラクターのボイス付きについては、これはとても良かったです!
やっぱりキャラクターの造形や世界観の深みが一層増します。
主人公はメガテンシリーズお馴染み、全く喋らないドラクエタイプの主人公なのですが、周りのキャラは喋る喋る。
文章を読むだけなのと、実際に耳で聞くのは感情移入も違ってきます。
演出面でもプラスでした。
お気に入りはストーリー中盤あたりだったかな。
魔界の門を開くスイッチ。そのスイッチを押せとばかりに選択肢を迫られる主人公。
その選択肢を熟考しているその後ろで阿修羅会のタヤマさんが訴え続けているんですよ。
「おい!そこのポニーテール!よく考えろ!」
みたいな感じで。テキストはありません。
言うなれば効果音の一種ですね。
選択肢を熟考せずに即決したら、その訴えを長々と聞くこともありません。
この演出、好きだったなぁ。
演出、シナリオで言えば否定的意見の中で多く聞かれる、キャラクターの心理的描写の少なさがありますね。
特にサブキャラクターのワルターとヨナタン。
声の演出もあり、2人の個性は良く出ています。
道中の2人との会話も良く描かれていて好感が持てます。
それだけに、なぜこの2人が最終的にそれぞれの選択をするに至ったのか。
そこに至るまでどんな出来事があり、葛藤をしたのか。
その描写がしっかりと描かれておらず、物語を追っているだけでは唐突すぎるのでは?という意見。
これは尤もです。
それぞれのバックボーンこそあれ、そこに至るまでの2人の心理的描写はほとんどないです。
ですが、限られた情報の中で決定的な選択肢に至るまでの葛藤や道程が描かれていたように思います。
それが今作の2人にはない。
出自がカジュアリティーズとラグジュアリーズの違いがあり、身分差別がある世界で生まれ育った2人。
それぞれの思想の違いこそあれ、力で虐げられ続けたような描写があるわけでなし、恋人を救えなかったような描写があるわけでもない。
映画を観る、小説を読むような感覚で物語を追っていたら説明不足は否めないでしょう。
でも、個人的にはこの点については特に不満はありませんでした。
あくまで個人的にですよ。
僕個人のRPGの楽しみ方は、主人公になりきってその世界に入り込むこと。
主人公=自分自身なんです。
フルボイスが当たり前になってきた昨今。
ドラクエタイプの喋らない主人公はイベントシーンにおいて、無口なだけのキャラクターだなんて揶揄されることも多いと思います。
でも、僕の場合、イベントシーンにおいて主人公はしっかり会話に参加してるんですよ。
僕の頭の中で。
脳内変換と言えばわかりやすいでしょうか。
ドラクエの主人公もメガテンの主人公も、モンハンの主人公だって、僕の頭の中で会話をしています。
元々がウィザードリィが好きだったせいもあるのかもしれませんね。
6人のパーティキャラ全てに個性を設定して脳内で物語を作り、要所要所で彼等は会話をしていました。
ワードナとも、ソーンとも対峙した時には対話してましたよ!
短い期間で意気投合し、仲良くなろうとも彼等にどんな過去があり、悩みがあり、決断に至るまでの葛藤があったか、それを知る由もありません。
現実の人間関係だって無くはないでしょう?
悩みを打ち明けられてから、そんなに深く悩んでいたことに驚くことも。
主人公=僕は、彼等がカオスやロウに傾倒しはじめた時には、オロオロしながら彼らへ自身の主張を訴えてましたよ。
ニュートラル設定の優柔不断で若干弱気ながら、最後には強い意志と決断力を発揮するリーダータイプのキャラに脳内変換していたので。
不満があるとすればイザボーちゃん。
ヒロインキャラだと思うのですが、過去作のヒロイン達と比べると魅力に乏しくて。
彼女に関してはワルターとヨナタン以上にゲーム上での描写が乏しかったこともありますが、それ以上に彼女の役割がヒロイン然としていないんですよ。
「女神転生」の名に相応しい役割を持っていたと思います。
が、イザボーちゃんにはそれがない。
こればっかりは脳内変換できる問題ではないので、僕の中では彼女と仲間以上の関係に発展することはありませんでした・・・
イザボーちゃん自身はどうやら今作の主人公=フリンに思いを寄せているような節が「FINAL」で垣間見られたのですけどね。
漫画にハマってしまう設定は好きだったよ。
こんな感じでキャラクターの描写の薄さに関しては個人的には特に不満がありませんでした。
でも、こんな内向的な楽しみ方をするのではなく純粋に「真・女神転生Ⅳ」の物語を鑑賞するのであれば、キャラクターの描写の描き足りなさは間違いないでしょう。
で、最後には悪魔のデザインについて。
今作では悪魔絵師の金子一馬氏による新規デザインはありません。
代わりに様々なイラストレーターによる新規デザインやリファインされた悪魔のデザインが投入されています。
これについては賛否両論というより、否定的意見が渦巻いていたと思います。
シド・ミードがデザインした∀ガンダムが発表された時の、「アレはない!」意見に通じるものがあるのではないでしょうか。
僕も最初の情報を見た時には「いやぁ、さすがにこれはねぇなぁ」って思いましたもの。
これが他のゲームならとても秀逸なデザインだと思います。
戦闘シーンのモンスターグラフィックもそうですが、イベントバトルなどでアップになった時は神がかったアートですよね。
だけど、これ、メガテンなのよね・・・
従来の金子デザインの悪魔達とともに出てくる世界。
違和感バリバリっていうか、メガテン風に言えばカオス極まりないっていうか。
むしろいっそのこと全ての悪魔が新規デザインだったなら、ここまでの違和感もなかったんじゃないでしょうか。
鳥山明のドラクエに荒木飛呂彦デザインの新規モンスターが紛れ込んでいるようなものなんですよ。
そこにシビれもしないし、憧れも出来ないわけで。
でも、まぁ慣れました。最終的には。
ミカエルら四大天使があんなでも、マサカド公があんなでも、初めて目にする異形の存在ということで脳内変換しました。
おヒゲのガンダムも今や全然オッケーですしね!
それでもね・・・
それでも、変えてはいけないものはあるだろう!
絶対にそこだけは触れてはいけない聖域というものがあるだろう!
最初の方に書きましたが、僕は事前情報はシャットアウトしてゲームに臨みます。
雑誌も関連サイトも一切封印しています。
新鮮な驚きを楽しみたかったんです。
ゲームも終盤まで進んでからの衝撃の出会い。
ルシファー閣下・・・。
あなたのその変わりようはないでしょう・・・。
デザインを変えるなとまでは言いません。
実際、ナムコ発売の旧メガテンから真メガテンで、一度大きくリファインしています。
(むしろ旧メガテンⅡの閣下はシビれるほどカッコよいです)
ペルソナでリファインされた閣下も受け入れられました。
でも今回の閣下はないよ・・・
なんだよこの疲れたオッさんは・・・
最終形態、6枚羽根は確認できましたが、ガリッガリじゃねぇか・・・
旧シリーズの、それぞれの閣下が持っていた神秘さも荘厳さも圧倒的な畏怖すらも、微塵も感じられませんでした・・・
閣下がその真の姿を現わす行程もいただけません。
デザインだけでなく、キャラクター性まで劣化しています。
閣下と言えば、その仮のお姿も時に紳士、時に子供、時に老人でしたがその都度、人の姿をして人にあらず。
人を暗黒へと誘惑するまさに悪魔の中の悪魔として描かれていましたが、なんだよ今作の仮の姿をは・・・
初見は全然それらしい節が見えなかったから全く想像できなかったよ・・・
むしろイザボーちゃんがあんなだから、真のヒロインキャラだと思ってたじゃねぇか・・・
デビルマンの飛鳥了がそうであったように、閣下が両性具有であっても別に驚きません。
という失望感しかありませんでしたよ。
ニュートラルルートで衝撃のお姿を拝見し、次はカオスルートでやり直し。
仮の姿との最初の出会いから、真のお姿になられるまでを改めて拝見してもやっぱりダメでした。
今持って受け付けられません。
FINALクリア後でもその失望感はリベンジ出来ませんでしたねえ。
最新作「真・女神転生Ⅴ」では金子一馬氏デザインの閣下に戻っていたので、「Ⅳ」のアレはやはり失敗だったとメーカーのアトラスも認めたってことなのもですね。
今回は3DS「真・女神転生Ⅳ」について語ってみました。
ロウとカオスとニュートラル。
それぞれの立場に分かれるかつての仲間同士の対立。
神と悪魔、ガイア教団の存在・・・
まさに「真Ⅰ」のリブート、悪く言えば焼き直しでしょうか。
そして、メガテン最大の魅力はそのダークなシナリオもさることながら、日常から非日常へ変化していく世界を描くことだと思っています。
ナラクには当たり前のように悪魔がいるし、悪魔を召喚する機械も選ばれしものが使用できるものですが、東のミカド国には昔から存在するものです。
言ってしまえば、ドラクエやFFと変わりないんです。
最新作なので新しい視点で考えられたのかもしれませんが、メガテンとして考えると、この点はちょっと残念でした。
総括すると、個人的にはとても楽しめたゲームですが、世の中で聞かれる否定的意見も頷かざるを得ない部分も多々あります。
でも、1本のゲームとして考えると難易度は高くもありますが、よく練られた良質のゲームだと思います。
メガテンとして考えると、新規デザインを受け入れられるならダークな世界観とシナリオは相変わらずなので充分オススメ出来ると思いますよ。
閣下へのこだわりがなければ。
今回はこの辺で。
いつかまたここで会いましょう。
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