B’z 「FRIENDS」が聴きたくなるクリスマス。少しだけ懐かしい夢を見た。

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誰かと一緒の人にも、ひとりぼっちの人にも、メリークリスマス。

クリスマスソングに名曲が多いけど、やっぱり聴きたくなるのは、B’z珠玉のこの1枚。

どーも、たけGです。

B’zは知ってるけどファンというほどでもない一般の方に、「B’zの歌で知っているものは?」と聞けば「ultra soul」の次に挙がるのは恐らく、「いつかのメリークリスマス」ではないでしょうか。

今やクリスマスの定番曲であり、この時期に街を歩けば耳にすることも多いと思います。

あなたの好きなクリスマスソングは?みたいなアンケートだと、必ず上位か、時には山下達郎「クリスマスイブ」やワム!「ラストクリスマス」あたりを抑えての1位になるなんてこともあるようで。

B’zファンであるにしろないにしろ、世代を超えて愛される名曲になってるようです。

今でこそ、この「いつメリ」こと「いつかのメリークリスマス」が一人歩きしてる感じですが、この曲の初出は、1992年発売のミニアルバム「FRIENDS」なのです。

B’zを詳しく知らない方は驚かれるかもしれませんが、「ultra soul」と並ぶB’zの代表曲とも言える「いつメリ」は、シングル曲ではなく、アルバムの中の一曲でした。

もちろん、「いつメリ」そのものも、掛け値なしの名曲なのですが、この「FRIENDS」というミニアルバムは、1枚のアルバムを通して、1つの情景を紡ぎあげている作品でありまして、「いつメリ」も、「FRIENDS」という作品を構成するピースの1つ。

「FRIENDS」を通して聴いたあとで、改めて「いつメリ」を聴くと、その歌詞の一つ一つが更に胸に響くのです。

松本さんは今作について、「映画のサントラのような作品を作りたかった」とのことで、稲葉さんはそれに合わせて4曲同時進行で詞を書いたそうです。

そして完成された本作は4曲のインストゥルメンタルを加えて、全8曲で1つの物語を紡ぎあげた、映画のサントラと呼ぶより1本の映画とも言える作品と呼んでも良いのではないでしょうか。

この時期になると、どうしても聴きたくなる1枚です。


プロローグ曲である、インストゥルメンタルの「Friends」から静かに、とある1組の男女「僕」と「君」の物語の幕が開きはじめます。

アルバムタイトルでもある、この「Friends」が意味するものは何なのか。

場面は移り、今や耳馴染みのオルゴールが流れはじめ、SCENE1.「いつかのメリークリスマス」が奏でられます。

慌ただしくも幸せに恋人とクリスマスを過ごす風景が描かれていると思いきや、サビで「いつまでも手を繋いでいられるような気がしていた」と、過去形で語りはじめます。

Aメロ、Bメロで語られる幸せな恋人たちの風景は、独りになった「僕」が幸せだった過去を回想する、「色褪せたいつかのメリークリスマス」

離れることはないと「君」に言った後で、何故だかわからず泣いた「僕」。

幸せな風景の中に別れの予感を感じていたのでしょうか。

立ち止まっている自分の横を走り抜ける、幸せそうな誰かに、かつての自分を重ねるような、このシーンのテーマは「回想」

過去への回想からはじまったあと、SCENE2.「僕の罪」

このアルバムでは唯一の明るいポップナンバーですが、このシーンのテーマは「再会」

「いつメリ」では別れていた恋人との再会のようです。

しかも「僕」の方から電話をかけ、「会いたい」と伝える。

そして「君」は会ってくれるんですね。髪型は変わっているけど、あの頃と変わらない笑顔を見せて。

これ、男性にとっては憧れのシチュエーションじゃないですか?僕だけですか?

かつて恋人同士だった女性と再会し、付き合っていた頃と変わらない笑顔を見せてくれるなんて、自分自身の過去を振り返ってもこれっぽっちもないんですけどねぇ。(恋愛経験が豊富でないというのもありますが)

この風景が成り立っているのは、以前に別れた理由が、別にお互い(もしくはどちらか一方が)相手のことを好きでなくなったとか、他に好きな人が出来たとかではなく、それぞれがやりたいことをやるため、つまりはお互いの夢を実現することを優先し、別れたためでしょう。

でも、十分に時は過ぎてないのに「僕」は会いたいと思い、「君」も応え、二人は再会する。

ああ、別れても気持ちは同じだったんだなと思わせつつ、実は二人の気持ちにある「ズレ」が少し示唆されてもいます。

「今度こそ彼女を離すんじゃねえぞ!」みたいに周囲から言われるのに「何かが違う」と感じる「僕」。

始まってまた繰り返すのが「恋」でも「愛」でもなく「罪」であること。

気持ちの微妙なズレを生じたまま、インストゥルメンタル曲の「Love is…」へ繋がります。

幕間とも呼べる「Love is…」では、直前のシーンで、かつて別れた「君」と再会し、浮かれた気持ちを軽く歌い上げてから一転、切ないインストゥルメンタルが流れます。

これは、再会したあとの「君」との気持ちの間に「ズレ」を感じはじめた「僕」の迷いを描いているのではないかと思います。

そして重々しく幕を開けるSCENE3.「恋じゃなくなる日」

このアルバムでは唯一と言ってもいい、B’zらしいロックナンバーです。

余談になりますが、この曲は僕が個人的にB’zのあらゆる楽曲の中で、最も好きな曲の1つです。

1番好きな曲は?と問われると非常に難しいのですが、その候補に挙がることは間違いなく。

「Treasure」での収録曲投票では1番に挙げました。(あとの2曲は「MOTEL」「YOU&I」でした)

「ULTRA Treasure」の時も悩みましたが、「Treasure」以降の曲から限定して選んだので泣く泣く除外。

それくらい好きな1曲です。

話は戻って、このシーンで描かれるのは「葛藤」

再会し、昔の関係を取り戻しつつある二人。

昔とよく似た日を過ごしながら、でも決して昔と同じではないと思う「僕」。

再会し、昔のように「僕」を求めてくる「君」に距離を置こうとしているかのように思い、悩み、葛藤する「僕」。

だからこそ、ほんの少し離れて歩いているけど、冷たい風が二人の距離を近づけて、不意に「君」が腕を組んでくる。

一気に距離を縮めてきた「君」を綺麗だと思いながら、思わず目をそらして空を見上げる「僕」。

恋じゃなくなった日、それは、愛に変わったのか、それとも…

インストゥルメンタル曲にしてSCENE4にあたる「SEASONS」が静かに、そして切なく奏でられます。

言葉がない、アコースティックギターのみで描かれるその情景は再び結ばれた2人の幸せな景色なのか、それとも過去の幸せだった頃を思い描く憧憬なのか。

そして、その切なさを吹っ切るかのように壮大に奏でられはじめるSCENE5.「どうしても君を失いたくない」

この曲におけるテーマは「解決」だそうで、「僕」は2人のことにどう結論を出したのかが描かれます。

「SEASONS」で、それぞれの季節を経て、また新しい冬が訪れる。

「僕」は、めまぐるしく日々を過ごしています。

一方で、この情景の中に「君」は見えてきません。

「どうしても君を失いたくない」と胸の奥の思いを歌いあげながら、出て来るのは、

「お互い同じ涙を流し合える」

「辛い時には泣けばいい」

「僕らの行き先が何処かにあるはず」

など、言ってしまえば「僕」の一方的な思いばかりで、別れたはずの相手に笑顔を見せたり、突然腕を組んだりなどの、「君」の「僕」に対する思いは、このシーンでは一切見られません。

となると、ここで示されている「解決」とは、再会を経て葛藤し、再び二人は別れを選んだのではないかと思われます。

ただ、ここで見えてくるのは、最初の別れの時に見られたような、お互い別々の道を選んだというのではなく、「君」が「僕」から離れていったのではないかというような描写。

「僕」は「君」に対する思いを強く叫び、一方で「君」の「僕」への思いは見えてこなく、最後のシーンで、変わらない街の人込みの中へ出かけて行く「君」に対し、「僕」は停めた車の中で、戻らない時に思いを巡らせています。

やはりこれは、別れたあと過去に立ち止まったままの「僕」と、未来に向かって歩いていく「君」を表しているのではないでしょうか。

「君」が街の中へ消えたあと、流れはじめるのは、エピローグとも言うべきインストゥルメンタルの「いつかのメリークリスマス」

再び「回想」の曲が流れ、色褪せたいつかのメリークリスマスを思い返すわけです。

一度は別れて、再会したが、お互いの気持ちがすれ違ったまま別れた二人。

思えば、「僕」が再会を求めたのは、恋でも、愛でもなく、「居心地のいい場所」を求めていたからなのでしょう。

傷つくこともなく、裏切られることもない、アルバムタイトルにもなっているような「FRIENDS」の関係

だからこそ、少し離れた距離を保とうとしていた「僕」へ、不意に腕を組むように距離を縮めてきた「君」は明らかに愛を求めていたのでしょう。

なのに、「君」の俯く仕草に孤独の疲れが見えても、何も出来ないような「僕」に、恐らくは「君」は今度こそ愛想を尽かしたのではないのでしょうか。

歌詞はとても抽象的で、聴き手によっては捉え方も違うかとは思いますが、僕は最初に何度も聞いていた頃はこのように捉えていました。

聴く人によっては、最後はやっぱり結ばれていて、「僕」が、「君」へ愛を歌い上げているハッピーエンドな捉え方もあるようですね。

それぞれの解釈が出来るのも、このアルバムの楽しみ方ではないでしょうか。

そうすると、もう1つの仮説が生まれてきたわけなんですよ。

それはある時、「どうしても君を失いたくない」を聴いていた時に気になったフレーズ。

「少しだけ懐かしい夢を見た。僕が走る夢を」

僕が走る、最初は特に気にしてなかったのですが、よくよく考えてみたらこれは、閉店間際の店へ「君」が欲しがってたイスを買いに走る「僕」ではないでしょうか。

となると、少しだけ懐かしい夢という言い方は、最初に別れてから十分に時は過ぎてないのでは、とも取れてしまうわけで。

「回想」のあとの「再会」も「葛藤」も、停めた車の中で「僕」が見た[夢」であったのではないか?

「いつかのメリークリスマス」からの回想から始まった全てが、新しい冬が巡ってきた時、車を停めて一人で目を閉じ、思い描いていた過去の回想から、こうあればいいなと思い描いていた「僕」の「願望」ではなかったか、なんてことも考えられたんですね。

捉え方は聴く人それぞれです。

実際、この「FRIENDS」から4年後に発売された続編とも言うべき「FRIENDSⅡ」では「僕」と「君」の大人のギクシャクした関係者を見せてくれます。

この二人が「FRIENDS」の二人と同一人物ならば、やっぱり結局別れてなかったのか?とも思えますし、三度「再会」して、ヨリを戻したのか?とか新たな想像が出来ます。

今回はB’z「FRIENDS」についての個人的な解釈でした。

記事で書いたように「FRIENDS」は全て通して聴くことで、一組の男女の物語をえがいている名盤です。

「いつかのメリークリスマス」は確かに名曲ですが、その後に物語の続きがまだあるわけで。

「いつメリ」しか知らない人に、是非聴いてもらいたい1枚です。

ハイレゾ音源、もしくはアナログレコード盤で出してくれないかな。

絶対に買っちゃうよ。

今回はこの辺で。

いつかまたここで、そして来年のクリスマスにまた会いましょう。

アナログレコード出してもらえるなら、パッケージデザインは、出来れば昔と変わらないままで。

 






コメント

  1. Tuyoポン より:

    B’zの熱狂的なFanではないので、深い話は出来ないのですが、
    何故か「FRIENDS」と「RUN」は持ってるんですよね。
    いつ頃手に入れたのか記憶が曖昧なのですが、確か「ZERO」がヒットした時だったかな?
    2枚ともパチンコ店で目に入ったので交換したような覚えがあります。
    私が30代前半の時だったような・・・。
    「FRIENDS」は愛聴盤ですね~寒い時期になると必ず聴きたくなります。

  2. たけG より:

    >Tuyoポンさん
    「FRIENDS」と「RUN」は、ほぼ同時期に出たアルバムなので、発売当時に一緒に入手されたのかもですね。
    僕は20代前半の学生の頃に購入しました。
    「RUN」は今でも車の中で時々聴いています。
    そろそろ「FRIENDS」を無性に聴きたくなる季節になってきますね…

  3. Tuyoポン より:

    たけGさん、(✿✪‿✪。)ノコンチャ♡
    今年はコロナのせいで都会のイルミネーションが例年よりもおとなしくなってしまったような印象を受けます。
    今週は仕事が非常に忙しくて「ようやく休みだ~!」とホッとしています。
    今、この記事を読み返しながら「FRIENDS」を聴いています。
    やっぱりこの時期に聴く「FRIENDS」は格別ですね・・・。
    自称オーディオマニアを気取っていますので、持っている中で一番高いヘッドホンとアンプで聴いています。
    普段アルコールは口にしないのですが、このアルバムだけはワインを飲みながらゆっくりのんびり聴くことにしています。
    今度は「いつかのメリークリスマス」ギターで弾き語りに挑戦してみようかな・・・

  4. たけG より:

    >Tuyoポンさん
    こんばんは♪
    今年はコロナの影響で、ゆっくりと12月の灯りが灯り始めたのに早い時間で消灯するイルミネーションの名所も多かったみたいですね。
    東京のスカイツリーも早くに消灯したというニュースを見ながら、この記事を見直して少し訂正してあげなおしました。
    今年のクリスマスは何だか例年以上に「FRIENDS」を聴きたくなっちゃったんですよねぇ。
    ワインを飲みながら聴く「FRIENDS」…うーん、オシャレで素敵です⭐︎
    Tuyoポンさんの「いつメリ」の弾き語りも、いつか聴いて見たいです(o^^o)

  5. Tuyoポン より:

    >たけGさん
    ( ^-^)ノ(* ^-^)ノこんばんわぁ♪
    「FRIENDSⅡ」買っちゃいました!(CD買うのってホントに久しぶり)
    本日が仕事納めで、帰宅したらAmazonから届いていました。
    たけGさんお薦めのアルバムなので昨日思わずポチってしまいました。
    今、聴きながらこれを書いています。
    何故もっと早く購入しなかったのだろうと後悔しています。
    とは言っても、この記事を読むまでこのアルバムの存在を知らなかったので仕方が無いのですが(笑)
    たけGさん、今年は色々と情報をいただきまして本当にありがとうございました。
    ネオジオCDの話がきっかけでこのブログに興味をもって、アインハンダーを始め、私の知らなかった楽しいゲームを遊ぶことが出来るようになりました。ゲームを遊ぶことの楽しさを再確認できたのはたけGさんのおかげです。
    来年もよろしくお願い申し上げます。
    どうぞ、良いお年をお迎えくださいませ!!

  6. たけG より:

    >Tuyoポンさん
    こんにちは♪
    こちらこそ、このブログを通じてTuyoポンさんと知り合えて、ネオジオ関連のお話しが出来てよかったです(*^^*)
    Tuyoポンさんの弾き語りも聴くことが出来て、村下孝蔵さんのCDを久しぶりに引っ張り出して聴いたりもしましたし。
    このブログ書いてて良かったなって思いました。
    来年もよろしくお願い致します。
    良いお年を!

  7. Tuyoポン より:

    >たけGさん
    お久しぶりです。
    この板にカキコしたのって4年も前になるんですね、12月になって何か忘れてるなって思っていて…
    ここのところ仕事が忙しくて、年賀状の印刷も終わってホッとしているところです。
    FRIENDSとFRIENDSⅡを聞きながら、やっぱり12月の締めくくりはこれだよな~って(笑)
    今年度いっぱいで定年退職なので、あと3か月は身辺整理で大変になると思います。
    普通は定年退職って言うと誕生日が来たときらしいですが、私の会社は誕生日が来た年度末まで勤務できます。
    片道2時間かけて通勤しているので、いよいよこの苦しみ?から解放されるのかと思うと少しワクワクしますね。
    「退職したら何をするんですか?」と色々な方々から聞かれるのですが、
    「私は多趣味でやりたいことがたくさんあるので、しばらくは趣味に没頭することにします」と答えています。
     趣味が無いと退職したあとにやることが無くて早くボケてしまうらしいので、私は安心かな?

  8. たけG より:

    >Tuyoポンさん
    お久しぶりです!
    お返事が遅くなってしまい、すいません
    今年度で定年退職されるのですね
    お疲れ様でした
    って、まだ1年あるのですよね
    色々なご趣味があるとのことで羨ましいです。
    僕にはゲームくらいしかありませんから…
    僕もあと数年後には定年が見えてきています
    その時ゲームだけで果たしてハリのある人生が歩めるのかどうか…
    案外早くにボケてしまうのかも^^;

  9. Tuyoポン より:

    >って、まだ1年あるのですよね?
    いえいえ、あと3か月で定年退職です。
    60歳で一旦退職して、そのあとは1年ごとの更新で高齢再雇用で65歳まで勤めました。
    5年なんてあっと言う間だろうと思っていたのですが、意外に長く感じましたね(笑)
    私の会社は60歳の時に管理職になっていれば、65歳までの5年間は再雇用であっても管理職のままで勤務できるので、とても有難かったですね、普通は再雇用だと役職定年になるところが多いらしいので…。
    給料も2割減だったのでそれほど生活に影響は無かったです。
    4月からは年金生活になるのでゲームもあまり買えなくなりますね。

  10. たけG より:

    >Tuyoポンさん
    ああ、そうか
    今年、ではなく今年度だったのですね。
    残り3ヶ月を切りましたか。お疲れ様でした。
    僕も10数年後は定年退職が見えてきてます。
    おそらく社内的にも扱いづらい自由に動き回っている主任止まりなので再雇用の際はあまり高望みはできないかな?
    独立もちょっとは考えているのですが。
    どんどん溜まっていく積みゲーは老後の楽しみと思っているのですが、どうなることやらです^^;

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