「キン肉マン 」60巻・すべてのキャラが魅力的、続編モノの鑑と言うべき新シリーズ最新巻。

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どーも、たけGです。

「キン肉マン」最新60巻。

僕と同年代の方で、小中学生の頃は「キン肉マン」読んでたけど、その後ジャンプも卒業して、マンガもあまり読まなくなったなーっていう方からすれば、

「えっ?キン肉マンって、まだ続いていたの?」とか、

「キン肉マンの最新巻ってⅡ世じゃないの?」

とか思われるかも知れませんね。

この「キン肉マン」最新巻の話をする前に、ちょっと余談をば。

「キン肉マンⅡ世」をはじめとする、一度完結したマンガの続編ものが一時期流行ってましたが、正直、僕はこの続編、大体があんまり好きじゃありませんでした。

続編物には3つのパターンがあります。


①先の未来を描き、前作の子供たちが主人公となるパターン。

いわゆるⅡ世ものパターンで、「キン肉マンⅡ世」や「銀牙伝説WEED」「リングにかけろ2」辺りがこれに当たります。


②前作よりも過去の世界を描き、前作の祖先たちが活躍するパターン。

「蒼天の拳」や、「聖闘士星矢 LC冥王神話」辺りがこのパターンかな。


③前作終了後のその後の話を描き、主人公も前作と同じパターン。

「エンジェル・ハート」や「キャプテン翼・ワールドユース編」以降がこのパターンですね。

「聖闘士星矢ND冥王神話」は過去ものでもあり、原作後でもあるので、括りが難しいですが。

で、僕がこれら続編ものをあまり好きになれなくなっていく理由はいろいろあるのですが、一つは過去作のキャラクターを蔑ろにする、もしくは改悪してしまうことが多々見られることです。

前作での激戦を生き抜いた戦士達が命を落としたり、魅力的な敵キャラだった者達が年を重ねて老害と化していたりと、前作のキャラ達が好きであればあるほどですね。

「キン肉マンⅡ世」「銀牙伝説WEED」「エンジェル・ハート」がその辺顕著で。

「WEED」は、ジョンやモス、白狼といった前作を生き抜いた戦士達が年老いているとはいえ、新たな世代の敵達との戦いの中で命を落としていくのを目にしていくにあたり、読み続けることが出来なくなり、「エンジェル・ハート」では、いきなり前作のヒロインだった香が、事故で命を落とし、その心臓を移植された女性が主人公という設定からして、最初から受け入れられませんでした。

パラレルワールドで描いている、なんて言われても前作でハッピーエンドで結ばれた後で事故死しているだなんて、そんな続きを見たかったわけではなかったんですよ。

「キン肉マンⅡ世」は頑張って最後まで読み続けましたが、アシュラマンやネプチューンマンといった前作の魅力的だった敵キャラ達の凋落ぶりを目の当たりにしてゲンナリしましたし、なによりⅡ世の世界観があまり好きではありませんでした。

前作では魅力的だった世界観が、その魅力を失ってグダグダになってしまうというのも続編ものを好きでいられなくなる理由の1つです。

「リングにかけろ2」は途中までは良かったのですが、ドイツ編の途中辺りから、おかしなことになりはじめ、段々と前作の展開をなぞっていくようになり、車田御大の作画力の低下に合わせてグダグダなまま終了し、綺麗に終わった前作に泥を塗ってしまった印象さえあります。

(途中まで本当に思い入れが深かったので、最後の方は本当に残念なことだらけでした)

「暁!男塾」なんて、もう最初から最後まで全てがダメでした。

前作「魁!男塾」も読み通せば矛盾だらけのグダグダなお話なのですが、それを勢いで納得させてしまう天然の面白さが凝縮された作品でした。

一方で続編の「暁!」や「極!男塾」は、本心は大真面目で描いたものが無茶苦茶になってしまったけど、それが天然の面白さに繋がっていた「魁!」の奇跡を、恐らくは計算して最初から確信犯的にノリや勢いを描こうとして、面白さに上手く繋がらず大失敗してしまったのではないかと思います。

「蒼天の拳」は実はそんなに読んでないので語れませんが・・・

このように続編ものに名作はなし、と思ってしまうものが多い中で、好きで読み続けられた(読み続けている)ものは「聖闘士星矢LOST CANVAS冥王神話」(御大オリジナルの「NEXT DIMENSION」の方ではありません!)、「キャプテン翼ライジングサン」、そして「Ⅱ世」ではない「キン肉マン」のシリーズ続編「完璧始祖編」です。

で、最初に話が戻りますが、今回挙げた「キン肉マン」最新60巻は、「完璧始祖編」最終巻になります。

お気づきでしょうか?シリーズ最終巻なのに表紙は主人公のキン肉マンではなく、かつての大敵だった悪魔将軍が飾っているのです。

WEB連載されていた本作を読み続けていた人からすれば、それは当然と言えることなのでしょうが、「王位争奪編」で終了した後、キン肉マンを読んでない人や、「Ⅱ世」で脱落してしまった人からすれば、「なぜに悪魔将軍が表紙を!?」とか思ってしまうかもしれませんね。(「Ⅱ世」で登場した将軍も酷かったですしね)

でも、この「完璧始祖編」における悪魔将軍はとてもカッコよく、キン肉マンを差し置いて真の主役と呼んでもよい存在感を発揮していました。

この「完璧始祖編」おいて、キン肉マンの正式なバトル回数が2回だったのに対して、悪魔将軍は3回戦っているのです。

しかも、うち1回はラストバトルでした。

だからと言ってキン肉マンの存在感が薄いわけではなく、ラストバトルこそ悪魔将軍に譲ったものの、最後の魅せ場では主役らしい存在感を発揮していました。

この「完璧始祖編」が面白かった理由、それは「Ⅱ世」では全然出来ていなかった、全てのキャラを魅力的に描くことが出来ていたことです。

これは「Ⅱ世」どころか、前作の「キン肉マン」でも見られなかったことです。

新しいキャラが出るたびに、かつてのキャラは魅力を失い、時には新キャラの踏み台になってしまうことは「キン肉マン」に限らず、少年マンガの鉄則みたいなもんですが、この「完璧始祖」編では、新キャラも、かつてのキャラもとても魅力的に描かれています。

「王位争奪編」終了後、キン肉マンはキン肉星大王の座につき、地球には平和な時が訪れる。

そこへ現れる完璧超人の新たな勢力。

地球で唯一戦えるアイドル超人、テリーマンが1人立ち向かい、傷つきながら一勝を挙げたところで、キン肉マンが駆けつけ、完璧超人達と戦おうとする・・・

ここまでは旧来の「キン肉マン」と同じ展開でしたが、その後が違いました。テリーマンが1勝を挙げても、その時点でまだ6人いる完璧超人に対し、立ち向かえるのはキン肉マン1人。

そこで駆けつけたのが残りのアイドル超人達ではなく、なんと悪魔超人。

それもヒラの悪魔と呼ばれていた、7人の悪魔超人たちです。

ステカセキングや、ブラックホールといった初期の敵キャラ達が、新たな敵キャラである完璧超人の新勢力と戦うことになるのですよ。

例えるならば、ドラゴンボールで、ピッコロ大魔王の配下だった、タンバリン、シンバル、ドラムあたりがギニュー特戦隊(もしくは人造人間)と戦うようなものです。

従来の少年マンガの鉄則で行けば、悪魔超人たちは、完璧超人の新勢力の敵にはならず、新たな敵の強さを際立たせるための踏み台、かませ犬的な役割になってしまうところですが、かませ犬どころか、かなりの善戦を見せ、下手をすると勝利をおさめてしまいます。

(ブラックホールなんて今シリーズでは数少ない2星ウイナーです)

「Ⅱ世」では、ここもダメなポイントでした。旧作の敵キャラを老害化しただけではなく、新世代の魅力的なキャラ達も、新たな敵が出る度に魅力的に描けなくなっていったのです。

スカーフェイスやチェックメイトといった、敵としては魅力的に描けていたキャラ達が、味方となった途端、その魅力を失ってしまう展開が続くごとに失望が重なっていったもんです。

以前の強敵が新たな強敵の踏み台になる、これは少年マンガにおけるお約束のようなものですが、それが続いてしまうと段々と辟易していく一方で、勝てないまでも新たな敵相手に善戦する姿が見られた時には胸が熱くなるのですよ。

例えば前作で、超人オリンピックの決勝でキン肉マンを苦しめたウォーズマンがバッファローマン相手に勝てないまでも最後まで一矢報いらんと、わけのわからない理屈まで出して戦い抜いた姿には胸が熱くなりました。

その後、ネプチューンマンやマンモスマンになすすべなく敗れてしまう、かませ犬的存在に成り下がった姿を見るたびにガッカリしたものです。

強いウォーズマンを見せてくれよと。

「Ⅱ世」で見られるのではと期待させる展開がありましたが、それは儚い夢で終わりましたが・・・

繰り返しますが、かつての大敵が、新たな敵を前にかませ犬で終わるのではなく、善戦し、時に勝利する展開こそ胸が熱くなるのです!

「キャプテン翼」もワールドユース編以降は、かつての大敵だったドイツチームが、新たな敵チームが登場する度に、かませ犬になる展開が続いて嫌になったもんですが、最新シリーズ「ライジング・サン」ではそのドイツチームが現在の最強の敵とも言えるブラジルチームと互角に戦いました。

ドイツチームは最初の連載時のラスボス的存在だったチームなのに、その後の新シリーズでオランダ、スウェーデン、ブラジルといった新たな敵に敗れ続け、「あのドイツチームが・・・」と言われて、新たな敵チームの強さを際立たせるための存在になり下がり、皇帝シュナイダーくんががっくり肩を落として呆然とする。

そんな展開に辟易し続けただけに、ブラジル相手にシュナイダーくん一人で4点もぎ取り、引き分けに終わった展開!

待ってましたという瞬間でした。

こういう展開こそ、熱くなりますね!

(まぁ改めて見てみれば、ブラジルのサリナスはこんなザルキーパーだったか?という展開でもありましたが)

「完璧始祖編」ではこういった展開が目白押しで、7人の悪魔超人や悪魔六騎士、そして悪魔将軍の見せ場が満載のシリーズでした。

それもキン肉マン達、正義超人と馴れ合って共闘するのではなく、悪魔超人としてのスタンスでもって戦いに臨むわけです。

相手とわかり合うために戦う正義超人に対し、どんな手を使ってでも相手を倒し、命を奪うことも厭わない悪魔超人たち。

決して、平和のためだとか、正義超人を助けるためとかではなく、自分たちの大義のために戦いに臨んでいるわけです。

かといって、敵である完璧超人に魅力がないというわけではなく、むしろこちら側も魅力溢れる敵ばかりです。

完璧超人には完璧超人のスタンス、大義があり、戦いに臨んでいます。

強さこそ全て、完璧な強さのみを求めて戦いに臨み、勝敗が決すれば悪魔超人のように相手の命を奪うことはしないが、自分が敗れればそれを恥として、掟に従い自らの命を絶つ。

正義、悪魔、完璧の各陣営の立ち位置をはっきりと分け、それぞれを善悪ではなく、それぞれの大義として描く。

悪魔超人も完璧超人も悪行超人として同じ扱いの悪役として描いていた前作や「Ⅱ世」では出来ていなかったことが今作では描かれ、ゆでたまご御大の作画力のアップと相まって、唯一と言ってもいい、「前作を超えた続編」に仕上がっているのです。

話の構成も、作家の作画力も落ちてしまっている車田御大の「聖闘士星矢」「男坂」や、宮下御大の「男塾」も是非とも見習ってほしいなぁ。

最後までダレることなく終了した、キン肉マン「完璧始祖編」ですが、WEB連載中の本編は新シリーズに突入しています。

新シリーズでは、今までは一コマでやられるような存在だった正義超人2軍3軍キャラのカレクックやベンキマン、愛すべきヘタレだったカナディアンマン、まさかの復活ティーパックマンが新たな敵キャラ相手に熱い戦いを繰り広げています。

はじまったばかりの新シリーズですが、また神がかった展開が期待できそうです。

出来れば、そうですね「完璧始祖編」ではあまり活躍出来なかったキャラにもスポットを当ててほしいところですね。

待望の強敵相手の1勝は挙げたが、他のキャラに比べて活躍の場が乏しかったウォーズマンや、試合の場がなかったネプチューンマンに活躍の場を用意してほしいと思います。

あと、スカルボーズやクリスタルマンといったキャラが出て来ても、うれしいなぁ。

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